発行物

「wamだより」VOL.32(2016.3)

以下は、「wamだより Vol.32(2016.3)に掲載した文章です。


wam10周年記念トーク・イベント
歴史は消せない 日本軍「慰安婦」の記録と記憶~これまでとこれから

wamアーカイブ事業に向けて

渡辺美奈(wam事務局長)

vol-32_10th-2日本軍から性暴力を受けた女性たちの被害をなかったことにしようとする動きが加速している社会状況の中、wamではこの10 年、一つひとつの国と地域に焦点を当て、それぞれに異なる被害実態を伝える特別展を開催してきました。また関連書籍・ミニコミ・市民活動の記録・映像作品収集、展示事業を通じた資料収集、公文書のデジタル化、「慰安婦」関連新聞記事のクリッピングなど様々な記録事業も行っています。一方で、今のままではあと10年しか存続できないという厳しい財政状況があります。

この数年は、高齢となった被害者の訃報が相次ぎ、存命の方への聞き取り調査も困難になってきました。また、支援者の側も高齢になってきているので、今まで撮りためてきたとても貴重な証言映像や写真が、未整理のまま、それぞれの手元に眠っている現状は気がかりでなりません。

アーカイブとは「社会のさまざまな組織体や個人が…活動を行うときに発生する第一次産物としての記録情報」(安藤正人『草野の根文書館の思想』)、1 点ずつしかないナマの記録です。「慰安婦」問題で言えば、被害者に関する音声・映像・写真・メモ・取材ノートをはじめ、支援団体の活動資料やニュースレター、日本軍の加害を示す公文書や政府の「慰安婦」問題への対処を示す外交文書、国会議事録、質問主意書などがあるでしょう。それら一次資料を収集して選別・体系化し、誰もが分かるようにするのがアーカイブ事業です。これをジェンダーの視点で行うには、創造力が求められます。

「日本軍『慰安婦』アーカイブ」の最も根本となるイメージは、一人ひとりの女性たちが苦しみ、闘い、生き抜いたことが分かるような、一人ひとりに出会える証言、写真、映像記録、表現した作品、その他の資料群をまとめたものです。そのためには一人の被害者について、出身国、被害を受けた場所、誰がどこで聞き取ったか…といった様々な基本情報があり、その情報から元資料にたどり着くことができる、つまり、その人に関してどういう資料がどれだけあり、誰が保管しているのかという情報を整理していく必要があります。

wamは、各支援者や支援団体が、手元の資料を体系的に整理できるようお手伝いをし、次の世代に伝えられるアーカイブにするための技術的・財政的なバックアップ体制を整備したいと考えています。そのためには専門スキルをもった人材も必要ですし、財政支援の呼びかけの必要も出てくるでしょう。wamを閉じた後のことを考えると、デジタルデータの管理や元資料の保管のためには、規模を縮小してでもwamをどうにか存続する方策を考える必要もあると思います。

また、私たちは「慰安婦」問題では、加害と被害の国々の市民による連帯行動を行っていますが、その他の現代の紛争下で進行している性暴力と闘う女性たちとの国際連帯は弱まっているように感じます。どの国においても、性暴力の被害者の支援や加害者処罰を求める活動は危険を伴います。闘っている女性たちに出会うたびに、孤立化しないよう、ネットワークで支える必要性を感じます。私たちがなぜ日本軍「慰安婦」問題で闘っているのか、それがどのように彼女たちの問題につながっているのかも確認し合う機会を作りたいと思っています。

「歴史は消せない、消させない。女たちの手で日本軍『慰安婦』アーカイブを作ろう」という、これからの10年の活動の一つの軸を提案し、みなさまのご意見もぜひお聞きしたいと思っています。



開館日・時間

水〜日曜日 13:00〜18:00

閉館日

月・火・祝日・年末年始
※団体でのご来館については事前にご連絡ください。
※展示入れ替え期間は休館です。

入館料

18歳以上:500円
18歳未満:300円
小学生以下:無料
※障がいのある方の付添いは無料。

住所

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〒169-0051
東京都新宿区西早稲田2-3-18
AVACOビル2F
Tel: (03) 3202 4633
Fax: (03) 3202 4634
E-mail: wam@wam-peace.org
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