発行物

「wamだより」VOL.32(2016.3)

以下は、「wamだより Vol.32(2016.3)に掲載した文章です。


日韓「合意」から3ヵ月、今になって見えてきたこと

池田恵理子(wam館長)

vol-32_k『wamだより』愛読者の皆さん、お気づきですか? この32号はいつもより分厚い24ページになりました。それと言うのも、昨年末の日韓外相会談で出された日韓「合意」をめぐる動きを伝えるために、ページ数を増やしたからです。「あれ?『慰安婦』問題は日韓が合意して、もう解決済みでは?」と怪訝に思う方もいるでしょう。そう、政府は「合意」を「歴史的、画期的な成果」と自画自賛し、新聞も「日韓の合意を歓迎する」(毎日新聞)、「『慰安婦』決着弾みに日韓再構築を」(日経新聞)と歓迎ムード。これをもって「最終的かつ不可逆的に解決」したかのようでした。

ところが実際には、韓国政府は被害者の声も聞かずに政治的談合をしたとしてハルモニたちから糾弾され、支援団体も世論も朴槿恵(パククネ)政権を批判し、日本の支援団体や研究者も批判の声をあげました。それに追い打ちをかけるように、国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は3月7日の最終見解で、「被害者中心のアプローチを十分に採用していない」と指摘(15ページ)、「『慰安婦』問題は未解決」という発言も出ました。日本政府はこれらの火消しに躍起ですが、国内外のギャップは広がるばかりです。この背景には、日本のメディアが政権批判を避け、国際的な動きを充分に伝えてこなかったことがあると思います。

注意深く「合意」直後の報道をチェックすると、「世論操作」とでも言えそうな論調や恣意的な編集に気づきます。今号特集のベルリン報告(4ページ)には、ドイツ第2公共放送が12 月28日、ナヌムの家の柳喜男(ユヒナム)さんの声を伝えたとあります。YouTubeでも確認できますが、彼女は「私はこれでは満足できません。こんなに長い間、権利を認められずに生きてこなければならなかったのに、人間として扱われてこなかったのですから」と言っていました。ところが同じ場を取材したNHKは同日夜7時のニュースで、ハルモニが「(政府が)今年中に解決しようと努力してくれたことも考え、私は政府がやることに従う」と語った部分だけ流していました。他の複数の新聞もここを引用して報じました。

こうして「合意」から1ヵ月経った2月4日のNHK「時論公論」では、世論調査で「合意」を「評価する」は63%、「評価しない」が29%だと言います。特集の韓国報告(2ページ)を読むと、韓国の世論調査では日本と真逆の結果が出ていることがわかります。

また日韓両政府は、このように重要な「合意」を文書化していません。会見内容はそれぞれが英訳していますが、これが微妙に食い違って誤解を生みかねないと、事務局長の渡辺さんが分析しています(8ページ)。

このままでいいはずがありません。やっと「責任を痛感している」と語った政府への働きかけを弱めることなく、「慰安婦」被害者の回復をめざした真の「解決」と、現代の紛争下での性暴力を根絶するための努力を続けていきましょう。



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