記載内容 | 他の戦友たちは私とちがって、プラトニックラブよりは実際的な方を選んで、街に娼婦を買いに行っていた。そのうちの戦友の1人が、あるとき遊びから帰ってきてびっくりしたように、いった。「女を買いに行ったら、それがなんと妹の同級生なんだよ。あんなに驚いたことはないね。なんでも、だまされて連れてこられたそうだ」彼がその娘から聞いてきたところによると、19才から20才ぐらいの朝鮮の娘が、タイピストやウエイトレスや事務員の名目で何百名も国に獲り出され、御用船に乗せられて来てみると、タイピストどころか慰安婦だったというのである。どの娘も高等教育を受けたちゃんとした家の生娘で、それが集団で連れてこられたそうなのだ。このはなしを聞いて、私はある戦友のもう一つのはなしを思い出した。その男が御用船に乗ってシンガポールからラングーンに至る途中のこと、船には数十人の若い娘が乗り合わしていた。一見して素人娘とわかる女性ばかりで、なんのためにどこへ行くのかもその戦友はしらなかった。が、こちらも血気盛んな年頃とて興味津々で、接近するチャンスをねらっていた。そしてある晩、ついに自分をおさえきれなくなって、集団で寝ている娘達の船室にもぐり込んで、そのうちの1人と関係を結んでしまった。・・・そうなってから、娘たちに、どこへなにをしに行くのかと聞いてみたところ、外地でタイピストとしてはたらく、と、そう答えた。 |