出典種別 | 兵士の回想録等 |
---|---|
現在の地域情報 | 黒龍江省 牡丹江市 東寧市 老黒山鎮 |
資料にある地域情報 | 老黒山の街 下士官・将校用 |
慰安所があった時期 | 1944年3月 |
記載内容 | ふと、従軍慰安婦所のもの陰で、手まねきをしている男が目に入った。なにか用がありそうなので、幸雄は小走りにその男に近づいて行った。「時間がないんでしょう。少し高いがいい女を今すぐ紹介します。お金ありますか」とその男は言った。将校服とよく似た濃いカーキー色の協和服のような服を着ていた。関東軍の軍属の服装だ。「少し高いって、いくらなの」「一般は1発5円。30分で追い出されるが、私が世話する女は上等品で10円だ。よければいますぐ入ってよい。時間も1時間でいいよ。ここの女は下士官と将校用となっている。他言無用だよ。そうだ。星一つではまずい。上着を脱いでついて来なさい」どこにも、なんでも、ものごとには裏というものがあるものだ。「筒井、金はオレがある。どうする。行くか」「オレ、そんなに金ないよ。悪いなあ。お前が行くならオレも行くたい」筒井の語尾は九州弁になっていた。昭和19年3月の日曜日。「10円」という金は当時大きかった。チチハルでは半年前に3円だった朝鮮人慰安婦が10円に値上がりしていた。だが、明日の命もわからぬソ満国境の一兵卒だ。死ぬのにお金を持っていても意味がない。・・・男はスタスタと足どりも軽く歩き出した。上り坂をしばらく登ると、板張りと白い壁を塗った、この辺りでは立派な長い建物が2棟建っていた。 |
証言者 | 高橋幸雄 |
証言者属性 | 日本軍兵士 |
部隊名 | 関東軍第7003部隊(猪狩中隊) |
資料タイトル | 初年兵と従軍慰安婦 |
著者、公文書発信者など | 菅原幸助 |
公文書宛先 | |
発行日 | 1997.4.15 |
発行所 | 三一書房 |
ページ | 192-193 |
出典備考 | |
備考 |
『満州帝国分省地図』の東寧街南方に「老黒山」がある。現在の地図で同所は老黒山鎮である。テキサス大学図書館公開の地図にも老黒山本村とある。 テキサス大学図書館公開の地図は次のサイトを参照のこと。 http://legacy.lib.utexas.edu/maps/ams/manchuria/txu-oclc-6614368-nk52-3.jpg |