資料の詳細

出典種別	兵士の回想録等
現在の地域情報	湖北省　荊州市　公安県　黄金口
資料にある地域情報	黄金口
慰安所があった時期
記載内容	◇移動ピー　 ・・・午前の演習で帰営したら、営内を5,6人の支那服で着飾った女性たちが、互いに会話しながら歩行しているのが目についた。会話の声は聞こえなかったが、顔つきが、どこやら支那の女性とは少し違って、目つきも、きついように思われた。彼女らは、「移動ピー」と言って、朝鮮人だ、と助教の兵長殿が教えてくれた。・・・凡そ一週間ぐらい、この兵営内にいたか、そのうち、その名の如く、いずれかに移動してその姿を見せなくなった。南京兵站から、この黄金口にやってきた行軍中、支那人家屋に宿営したこともあったから、そこでの支那人との接触で、卑俗なことばも少しは覚えて、「サイコサイコ」や「マーラカピー」を口にしたり、「ピィ」の意味する内容も判っていた。この女性たちが、こんな最前線の守備隊にまで送り運ばれ、兵士たちの性の犠牲に供せられるのか、若い日本軍兵士たちの、性の暴走を逸らし、支那女性への破廉恥行為を防止させるための手段に供せられていて、気の毒だと思った。・・・ 彼女らが朝鮮の女性である、ということが、たとへ貧困で身を売ったとしても、「日本人の犠牲になっている」と思うと、心痛んだ。そしてこの黄金口に来てから、新たに日本軍人に加えられた4,5名の朝鮮初年兵たちは、この同胞女性たちの受難をどう見ているのか、と気に懸った。
証言者
証言者属性	日本軍兵士
部隊名
資料タイトル	青春の軌跡（下）　初年兵の見た戦争
著者、公文書発信者など	鈴木竹松編集
公文書宛先
発行日	1995.12
発行所	私家版（伊東市）
ページ	503
出典備考	注：522ｐに「私たちが見たあの湖は、洞庭湖の北西の、その大きさも、洞庭湖の二、三十分の一ぐらいの湖であって、太平運河が連なっていた」とある。この場所と黄金口の関係は本文上は不明だが、宜昌50万分の1の地図を見ると、洞庭湖の北西にあるという湖は沙市南方にある湖群と思われる。ここには長江岸に「太平口場」という地名がある。さらに太平口場からの支流（運河か？）の南下する先には「黄金口」がある。現在の地図でも同所は「黄金口」となっている。証言の黄金口はここと思われる。
備考	テキサス大学図書館公開の中国地図・常徳（シリーズＬ500、1954～）に「黄金堆」がある。この地図では公安の南、地図の右上「0-9」にある。現在の地形との変容が見られるが現在の地図で同所は「公安県黄金口」である。宜昌50万分の1の地図の揚子江の西に黄金口がある。テキサス大学図書館公開の中国地図・常徳は次を参照のこと。 http://legacy.lib.utexas.edu/maps/ams/china/txu-oclc-10552568-nh49-11.jpg