記載内容 | 愈々敵が上陸して来れば、アンボンの小島では防ぎ切れないと対岸のセラム島に移動することになる。・・・岸から1キロ位の位置にピルという村落がある。其処に兵站本部を置き慰安所の宿舎も設営した。其処へアンボンから慰安婦が移動して来た。・・・慰安所の楠本という人が、現地除隊して慰安所の親方におさまっている。中々手に入らない、ダイナマイトが、彼の役得で幾らでも手に入るという。・・・我々も慰安婦も肴には不自由しなくなった。・・・慰安所は、兵站の経営と思っている兵隊がいるが民間の経営である。私が慰安所の親方になっていたという兵隊もいる。馬鹿な事を言うな、慰安所には現地除隊した楠本君が親方として厳として居るよ。・・・その証拠に慰安所は昼も夜も押すな押すなの満員御礼である。将校は夜専用であるが、夜行ったのでは先約が一杯で50名から居る慰安婦を確保することは出来ない。・・・兵隊は1発1円で、将校は一晩抱いて寝て10円である。私は俸給が20円、中隊長中尉で94円、手当てを入れても120円位のもので、如何に中隊長のやつ、少々度が過ぎていたかが分かる。・・・現地の慰安婦は即日解放された。彼女達はリュックサックに入り切らん程軍票を貯めこんでいたが、そんな物は焼き捨てて終えと言ったら、リュックサックを抱えて、気のふれたように泣き叫んで軍票をまき散らした者も居たという事であった。 |