出典種別 | 兵士の回想録等 |
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現在の地域情報 | シャン州 |
資料にある地域情報 | シャン高原 |
慰安所があった時期 | |
記載内容 | 兵隊たちの脳裏には、「パプン、パプン」と、それだけであった。モチ鉱山をすぎて10日ばかりした山中のジャングルで、タイ国のチェンマイとパプンとにわかれる三叉路に出た。傷病兵と看護婦、慰安婦たちは、タイ国のチェンマイへ向かった。この途中、軍の女郎家の女将が、軍票をリュックサックにドッサリ詰めこんで、兵隊といっしょに行軍していたが、ついに落伍して、「兵隊さん……お金やるから、荷物持ってくださいよ」と、哀れな声で頼んでいたが、兵隊たちは笑って、「おばさん……もう軍票は役にたたんごバイ。みんな捨てっちまいなよ」冷やかす兵隊たちを、女将はうらめしそうににらみつけていた。この女将は、途中で気が狂って、軍票をバラまいて、泣いたり笑ったりで、聞くにたえないような、あられもないことを喋りつづけていたそうだ。「兵隊さんたち……お元気でね」真っ黒く陽やけした朝鮮の若い慰安婦たちは、私たちに手をふりながら、タイ国のチェンマイ道へ去っていった。タイ国境が近いのか、シャン高原というより山岳地帯といった方がよかった。 |
証言者 | 高崎伝 |
証言者属性 | 日本軍兵士 |
部隊名 | 歩兵第124連隊 |
資料タイトル | 最悪の戦場に奇蹟はなかった |
著者、公文書発信者など | 高崎伝 |
公文書宛先 | |
発行日 | 1974.11.21 |
発行所 | 光人社 |
ページ | 256-257 |
出典備考 | 本資料は光人社単行本版。同じ題名で1993.8.17、2007.3.12(新装版)に、光人社NF文庫刊。NF文庫では378-379ページ |
備考 |
敗走中の出来事。慰安所に関する詳細不明。 ※日本軍慰安所マップの地点としては反映させていない。
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