出典種別 | 兵士の回想録等
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現在の地域情報 | ラウテン県 ラウテン |
資料にある地域情報 | アビス飛行場から車で山を降り海岸近く |
慰安所があった時期 | |
記載内容 | その日の夕方近く、健吉達はやっと用務を終わり帰途についた。車が山を降り海岸近くに来たとき、島田曹長が声をかけてきた。「おい、慰安所に寄ろう」 軍が許可した公娼である慰安所は各地区に幾つかあって、それぞれの部隊が管理している。「今日は日曜日だが、兵隊はもう皆、帰営した頃だ。夜は将校達がたまに来るだけでわりに暇だぞ。我々は午後から外出したので、あわてて帰る必要もない。行こう」健吉も憲兵少尉の話を聞いて気が重くなっていた。せめて女にでも合えば……少しは気が晴れるかもしれない。鬱屈した心を女に逃避するか……と、自嘲しながら賛意を表した。慰安所は台風の去った直後のように静かであった。兵隊達は、それぞれ男性としての戦を終え、満足して引きあげて行ったのだ。島田曹長は早くも、どこかの室へ消えた。健吉も、板壁1枚で仕切った女達の室の一つに入った。インドネシア人の女は、毛布の上に全身を投げ出してのびていた。・・・見れば枕元の小机の上にガラスのコップが一つ置いてあるが、その中に慰安所のチケットが一杯入っている。20枚以上はあるだろう。 |
証言者 | 小瀧實 |
証言者属性 | 日本軍兵士 |
部隊名 | 第7独立飛行場中隊 |
資料タイトル | 火炎木 |
著者、公文書発信者など | 小瀧實 |
公文書宛先 | |
発行日 | 2002.7.15 |
発行所 | 文芸社 |
ページ | 76-81 |
出典備考 | 注:アビス飛行場はラウテン県の内陸にある。証言者らは、用務を終え、そこから北方向に山を降り、海岸近くで「慰安所に寄ろう」と決意した。その近くに慰安所はあったようだ。このことから慰安所の位置は、ラウテン県ラウテンである。 |
備考 |
現在の地図でラウテン県は、東ティモールの東部に位置し、ラウテンは北海岸沿いにある。
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