出典種別 | 兵士の回想録等 |
---|---|
現在の地域情報 | 北マリアナ諸島 グアム島 |
資料にある地域情報 | グアム島 |
慰安所があった時期 | |
記載内容 | すでに兵隊相手の女郎屋が開設されているのは一驚だった。・・・メイン・ストリートに沿って、さらに富田の飛行場方向に坂を上ってゆくと、左側に目ざす女郎屋が建っていた。あまり綺麗ではない。二階家の階段を上ろうとすると、二階の窓からのぞいていた娼婦が、「将校さん、ここは兵隊専用だよ、将校さんのは別にできてるよう」 「軍医さん、沖縄の女郎が足をやられて動けんのだ。連れていってくれと言うんだけど、担いで逃げるわけにもいかんし、それなら殺してくれと頼むんです。軍医さん、なんとかあの女を楽にしてやってくれませんか」と言う。その兵のグループには、沖縄出身の慰安婦が二人まぎれ込んでいた。・・・女の悲痛な叫びに、私は腰の軍医携帯嚢の中に、まだ残っていたモルヒネのアンプルを取り出すと、急いで女の腕の静脈に薬液を注入した。・・・死ぬにはまだ時間がかかる。しだいに銃声が大きくなり、米兵が近づいてきた。「よし、俺が眠らせてやろう」柔道五段の芝崎軍医が、モヒでぐったりしている女のうしろに回って首に腕を巻きつけると、頸動脈をグイと締めた。たちまち女の顔は白蝋のように白くなり、間もなく息が絶えた。 |
証言者 | 吉田重紀 |
証言者属性 | 日本軍兵士 |
部隊名 | 第29師団歩兵第38連隊第3大隊 |
資料タイトル | 孤島戦記 若き軍医中尉のグアム島の闘い |
著者、公文書発信者など | 吉田重紀 |
公文書宛先 | |
発行日 | 2005.12.14 |
発行所 | 光人社 |
ページ | 46-47、221-223 |
出典備考 | 単行本は『慟哭の孤島 グアム玉砕の記録』1981.3.15、広済堂出版 |
備考 | グアムの地図あり。 |