記載内容 | 「これからの日曜日は、初年兵も交替で新璦琿への外出を認めることになる。外出の際は必ず内務班長に許可を得ること」准尉はさらに真面目な顔でこう続けた。「花柳界への出入りもすることだろうが、その時は班長から鉄兜を2個ずつもらい、絶対に病気にかからぬように注意せよ。なお、射精の後は必ず洗滌し清潔にしておくように」そう言えば最近、古年兵からもこんな話でからかわれた。「おい、一期の検閲が終わると初年兵も自由外出が許可されるんだぞ。新璦琿にはお前たちが夢に見る赤線地帯があってな、そこでは20歳かそこらの可愛い、ピチピチした朝鮮娘を相手にできる。帰りぎわなんか『兵隊さんまた来いよ』って、透き通った声で言うんだぞ。色白のぽちゃぽちゃとした、まるで生娘のような美人がなあ。どうだ、行ってみたいだろう」半信半疑で聞いていたが、あながち嘘ではないようだ。果たして次の日曜日、初年兵に外出が許された。すると、なんとまあ浅ましきかな。ほとんど誰もが、我れ先にと花柳小屋を目指した。いや、白状すれば、私もその一人。着いてみると先発組が小屋の外まで並んでいて、あちこちの班から初年兵が勢ぞろいした感じである。・・・花柳の小屋は平屋建てで、入り口を開けるとまず土間がある。そこには幾つかの椅子があり、ここを待合室とした。順番がきてさらに中へ入ると、竹編みの敷き物がある。言うまでもないが、ここが事を致す所であった。終わって待合室とは反対側へ出ると、そこにはちゃんと洗滌器具が備えられていた。 |