証言,公文書等,様々な文書を徹底調査

資料の詳細

出典種別 兵士の回想録等
現在の地域情報黒龍江省 黒河市 愛輝区
資料にある地域情報新璦琿
慰安所があった時期1944年7月頃
記載内容「これからの日曜日は、初年兵も交替で新璦琿への外出を認めることになる。外出の際は必ず内務班長に許可を得ること」准尉はさらに真面目な顔でこう続けた。「花柳界への出入りもすることだろうが、その時は班長から鉄兜を2個ずつもらい、絶対に病気にかからぬように注意せよ。なお、射精の後は必ず洗滌し清潔にしておくように」そう言えば最近、古年兵からもこんな話でからかわれた。「おい、一期の検閲が終わると初年兵も自由外出が許可されるんだぞ。新璦琿にはお前たちが夢に見る赤線地帯があってな、そこでは20歳かそこらの可愛い、ピチピチした朝鮮娘を相手にできる。帰りぎわなんか『兵隊さんまた来いよ』って、透き通った声で言うんだぞ。色白のぽちゃぽちゃとした、まるで生娘のような美人がなあ。どうだ、行ってみたいだろう」半信半疑で聞いていたが、あながち嘘ではないようだ。果たして次の日曜日、初年兵に外出が許された。すると、なんとまあ浅ましきかな。ほとんど誰もが、我れ先にと花柳小屋を目指した。いや、白状すれば、私もその一人。着いてみると先発組が小屋の外まで並んでいて、あちこちの班から初年兵が勢ぞろいした感じである。・・・花柳の小屋は平屋建てで、入り口を開けるとまず土間がある。そこには幾つかの椅子があり、ここを待合室とした。順番がきてさらに中へ入ると、竹編みの敷き物がある。言うまでもないが、ここが事を致す所であった。終わって待合室とは反対側へ出ると、そこにはちゃんと洗滌器具が備えられていた。
証言者天谷小之吉
証言者属性日本軍兵士
部隊名関東軍・第612部隊
資料タイトル戦時下の惜春 私のシベリア抑留記
著者、公文書発信者など天谷小之吉
公文書宛先
発行日1996.2.29
発行所新風舎
ページ36-40
出典備考
備考 『満州帝国分省地図』にアムール河のすぐ西の黒河街南に「愛琿」があり、その南西方向の鉄道(北黒線)に「愛琿」駅がある。前者が古くからの「愛琿」、後者が駅としての「愛琿」である。この後者の「愛琿」駅を中心に日本人街が発達し、ここが「新璦琿」と呼ばれた。現在の地図の黒竜江省北部、アムール河の西岸沿いに黒河市がある。新璦琿は旧日本軍が命名した地域であり、現在の中国の行政区画ではとられていない。ここでは上位の行政区画である愛輝区でとった。
テキストのコピーはできません。