記載内容 | 毎週金曜日は八千代館、朝日館の慰安所の朝鮮ピーの定期検診日で、病院内が白粉の臭いと彼女達のやかましい朝鮮語のおしゃべりで賑かだ。・・・「八千代館百合子月経3日休業。花子異常なし。波子軟性下疳休業」という具合に2軒の慰安所のピー達の検査結果を司令部へ報告しているのだ。衛生一等兵がこんな重要な仕事をしていいのだろうか。・・・古参兵達は中央飯店で一杯やって慰安所へ行くが、初年兵の私は飲む事もできず、チチハルのような映画館も公園もない。寒さは厳しいし、行く所のない私はいつの間にか、八千代館へ来ていた。・・・他のピーがなみ子と呼んでいたそのピーを部屋に入ってよく見てびっくりした。彼女も驚いている様子だ。病院へ慰問に来て私のベッドでサービスしてくれたあの無口な女性だたのだ。・・・裸になった彼女は寝ながら聞きもしないのに話を始めた。・・・祖国防衛のために苦労している将兵に、何か慰問できたらと思っていた時、日本の悪質な業者に「皇軍慰問に行かないか」と誘われて、いくらかの現金を受領して契約書に捺印したら、人身売買が成立し合法的な奴隷になってしまった。現地に来て慰問の手段に驚いたが、すでに遅かった。生ける屍になったのだ。私の想像通り、朝鮮の田舎で小学校の教師をしていたから、日本語が上手なのだ。 |