証言,公文書等,様々な文書を徹底調査

資料の詳細

出典種別 兵士の回想録等
現在の地域情報黒龍江省 牡丹江市 東寧市 大肚川鎮
資料にある地域情報中国東北の大肚子川
慰安所があった時期1945年3月
記載内容昭和20年3月のある日、転属将校の送別の宴が開かれた。沖縄の戦局が悪化していることが伝えられはじめた頃である。宴席には朝鮮出身の慰安婦がよく呼ばれたが、その日は隊長のお気に入りが姿を見せなかった。設宴の掌にあった私は、彼女が隊長をひどく嫌っていたことを知っていたので、席に呼ばないようにしたのである。そのことを知った隊長は激怒し、酒の勢で私めがけて盃を投げつけ美事に顔にあたり、その後は取っくみ合いになった。「上官侮辱だ!」「軍法会議だ!」などとわめいて憤慢やるかたない隊長は、その後、数日のあいだ留守をして帰隊した私に対し、ふてくされた態度で、札幌への転属命令を伝えた。矢野そうい(慰安婦たちは少尉をそのように発音していた。)が慰安婦をかばって隊長と争い、急に転属することになったことは、たちまち彼女たちの間に伝わり、多くの餞別が集められた。出発の日、将校、下士官、兵、満州人軍属少年隊、慰安婦の順に整列して見送る中を、私は挙手の礼をもって通り過ぎた。慰安婦たちから餞別をもらい見送られたのは私ぐらいであろう。
証言者矢野達夫
証言者属性日本軍兵士・主計少尉
部隊名満州第2643部隊・貨物廠
資料タイトル緑園の青春群像(上)
著者、公文書発信者など新京経理学校第7期生卒業40周年記念文集編集委員会編
公文書宛先
発行日1983.11.10
発行所緑園会事務局
ページ327-328
出典備考矢野達夫「緑園を去ったのち」/「【資料紹介】主計将校と「従軍慰安婦」―中曽根元首相―」『季刊戦争責任研究』第7号、84ページ
備考 『満州帝国分省地図』の牡丹江省の東寧街の南に「大肚子川」がある。テキサス大学図書館公開の地図には「大肚川」とある。この地名が本証言の大肚川と思われる。現在の地図の牡丹江市東寧市大肚川鎮である。
テキサス大学図書館公開の地図は次のサイトを参照のこと。
http://legacy.lib.utexas.edu/maps/ams/manchuria/txu-oclc-6614368-nk52-3.jpg
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