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資料の詳細

出典種別 兵士の回想録等
現在の地域情報湖南省 長沙市
資料にある地域情報湖南省 長沙
慰安所があった時期
記載内容24 慰安所の見学
引き返して来たもののすることがない。昨夜の話相手であった司令部の高橋中尉をたずねた。そのうち、まだ日は高いから慰安所を見学しては? ということになった。俺とて男だから、興味がないといえば嘘になる。さりとて積極的に行動を起こすほどの勇気もないが、一瞥の要がある、とて賛意を表した。慰安所とは戦地に設ける臨時の公娼設備である。もちろん司令部の一部門が管理して、その被護の下で業者に営業させているのだ。車は草ばかりの丘を登りつめて、板囲いの一棟がぽつんと建っている前で停止した。入口には「長沙慰安所」の看板が麗々しくかかっていて、折からの西陽に明るく映えていた。中を覗くと、前線が遠くに進出していて激戦の最中であるせいか、お客は少ないようだった。半坪の土間の奥に布団「敷放し」の三畳一間の客室があって、その周囲は隙間風も通るベニヤ板で囲い、それらしい色香もない殺風景なものであった。客間は全部で五室あった。しかし、さすがに布団だけは色っぽかった。土間の通路を挟んで反対側に事務室、男便所、女便所と並んだ、何の変てつもない建物だ。五間の客室は只今二間使用中である。
証言者細川忠矩
証言者属性日本軍兵士
部隊名
資料タイトル戦場道中記
著者、公文書発信者など細川忠矩
公文書宛先
発行日1992.4.30
発行所私家版(埼玉県大宮市)
ページ70-72
出典備考
備考 p71に「長沙慰安所」と右下に記されている平屋の建物のスケッチがある。
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