資料の詳細

出典種別	兵士の回想録等
現在の地域情報	広東省　広州市　海殊区
資料にある地域情報	広東　黄埔
慰安所があった時期	1941年11月
記載内容	11月2日（日曜）南支那に上陸し、広東黄埔の兵站で、待命のため2週間ほど仮宿営した。外出許可が出たのは1回だけだった。その日、私は、のんびりと広東市内を見物したが、つまらない1日だった。・・・それでも、一つだけ脳裏に刻まれた印象があるには、不幸中の幸いだった。私は、その日、慰安所の看板を初めて見た。“慰安所”とは、どんな施設か私は知らないので、好奇心に勝てず、中を覗いてみた。仲間の2人も、私に同調した。それで窓を眺めていた婦人が、「なんだイ、子供か。商売の邪魔だから、あっちへゆきな……」と、言うと、さっさと窓を閉めて奥に消えた。帰営の汽車の中で、私たちを子供扱いにした婦人の話題が出た。そばで聞いていた東宮一等兵（群馬県出身、昭和15年後期兵）は、おかしそうに笑いながら、「その婦人は慰安婦と言ってナ、春を売る商売をしているんだ。徴兵検査まで、あんなところへ入ってはだめだ。一度入ったら、ずるずるべったりに引き込まれて、いくら金があっても足りなくなる。ま、底無し井戸に金を捨てるようなもんだ。やめとけ、やめとけ。20歳過ぎても行っちゃぁいけねえよ」。
証言者	証言者不明
証言者属性	日本軍兵士
部隊名
資料タイトル	風と雲の青春－昭和従軍少年史－
著者、公文書発信者など	宇陸航16年度同期生有志
公文書宛先
発行日	1994.2.1
発行所	宇陸航16年度同期生有志
ページ	154
出典備考
備考	1941年11月2日は日曜日である。／黄埔は各地にあるが、本資料では「広東の外港の黄埔」とあり、広東省の「黄埔」である。アジア歴史資料センター：C13032560500「広東省地図」などによると、広東市の東方の珠江内の中州に黄埔が記されている。テキサス大学図書館公開の中国地図・KUANG-CHOU（シリーズＬ500、1954～）の広州の東、中州の島の東端に「黄埔」がある。地図の下中央「4-5」にある。現在の地図で同所は「広州市海殊区」に属す。現在の黄埔区は、長洲島を含む珠江の北の地域である。テキサス大学図書館公開の中国地図・KUANG-CHOUは次を参照のこと。 http://legacy.lib.utexas.edu/maps/ams/china/txu-oclc-10552568-nf49-4.jpg