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資料の詳細

出典種別 兵士の回想録等
現在の地域情報北スマトラ州 メダン
資料にある地域情報メダン
慰安所があった時期未記載
記載内容メダンの街は満州とちがい、目にはいるすべてが明るく華やかだった。・・・街はずれには、慰安所の一画があった。桜に似た木にかこまれて、粗末な長屋風の建物が並んでおり、一般に「ピーヤ」と呼ばれていた。外出日には兵隊たちがいちばん集まる場所だった。・・・外出日には、ほとんどの仲間たちが慰安所に行く。こんなときに、自分だけ街の中をぶらぶらと単独行動はできないので、仕方なく一緒に行くことになる。・・・もともと私は、たとえ色は黒くても、生きた心を持っている同じ人間を、道具扱いすることに賛成ではなかった。女からしつこくからみつかれたらどうなるかわからぬが、自分から積極的な行動に出る気はなかった。だが、このままでは具合が悪くなってきた。とにかく、女の室に出入りするところを見せなければならない。次の外出日に、なるべく多くの者の目につくような時を見計らって、私は一つの室のドアーを開けて中に入った。・・・私のおぼつかないマレー語と、女のおぼつかない日本語が入りまじって、これだけの会話でも手間取ったので、時間稼ぎには丁度ころあいになった。「またこんど来るから……」そう言っていすから立ち上がった私は、ドアーを開けて外へ出た。・・・佐藤曹長は、ときどき、翌日の準備に忙しい山辺兵長を炊事に残して、他の者をつれて出かけることがあった。・・・佐藤曹長がつれて行くところは、慰安所であった。そこにつくと、すでにそれぞれ馴染みができているらしく、皆いつの間にかすうっと消えてしまう。初めてつれて行かれた私が、戸惑っていると、佐藤曹長が一つのドアをあけ、中の女に何やら話しかけた。
証言者品田正
証言者属性日本軍兵士
部隊名
資料タイトル弱兵物語
著者、公文書発信者など品田正
公文書宛先
発行日1993.8.1
発行所私家版(新潟県柏崎市)
ページ77, 79-80、117
出典備考
備考
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