出典種別 | 兵士の回想録等
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現在の地域情報 | バンテン州 セラン県 |
資料にある地域情報 | スンダ海峡に面したアゼルロイの温泉 |
慰安所があった時期 | 1945年7月 |
記載内容 | 7月のある日、私は大隊本部に呼び出され、スンダ海峡に面したアゼルロイに出動を命ぜられた。「高射砲1ケ分隊にスカブミ駐留の153大隊から派遣される重機1ヶ分隊を掌握して、アゼルロイ灯台警備に任ずべし」というのである。・・・朝食後、兵働軍曹が私を芝生の隅もさそって「この道を千メートルも行くと温泉があるんですよ」「ひと風呂浴びて来られては!」と、意味あり気に笑った。・・・広場の中央にスレート屋根のプールを見た。軍曹の教えた温泉に違いない。・・・「これだな!確かに温泉だ!」ー誰もいないから断わらずに入らせていただこうー・・・私は女の声を聞いた。現地語であった。笑いが近づいて来る。私は頭を上げて声のする方を見た。全裸の女が4人、私に気付いていないらしい。「朝鮮の女だ」と思った。・・・やはり朝鮮の女である。・・・「将校さん。いいお湯ね」と声をかけたのは年増の女である。「石鹸を使いなさい」と、日本語で言い石鹸箱を差し出した。・・・彼等は仲間の名を呼び、プールの一番端まで行って湯から上がり始めた。私は背を向けた。「あとでね!お富さん待ってるよ」年増が若い子の肩を突いた。その拍子にお富さんらしい女がプールに転げ落ちた。彼女等はまた笑いこけ、私もつられて笑った。お富さんはプールから上がって「若い将校さん、可愛がってあげるわ!」変なアクセントの日本語を残して年増の後を追った。・・・兵働軍曹はベランダで雑誌を呼んでいた。私の姿を見るなり雑誌を置いて「面白い所でしょう」と、私をからかうように笑った。私は殊更面白く語った。 |
証言者 | 松山伝造 |
証言者属性 | 日本軍兵士 |
部隊名 | |
資料タイトル | わが戦中記 夢幻 |
著者、公文書発信者など | 松山伝造 |
公文書宛先 | |
発行日 | 1986.6.30 |
発行所 | 私家版(広島県世羅郡) |
ページ | 197、201-203 |
出典備考 | 『季刊戦争責任研究 第3号』日本の戦争責任資料センター1994春の「軍慰安所・軍慰安婦第1次集計表」では「アゼルロイの温泉」でとっている。 |
備考 |
ジャワ及びマドゥラ25万分の1の地図に「ANJER-LOR」がある。現在の地図のAnyarと思われるが、温泉の位置が不明のため、上位のセラン県Serangでとった。
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