| 出典種別 | 兵士の回想録等 |
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| 現在の地域情報 | 東カリマンタン州 バリクパパン |
| 資料にある地域情報 | バリクパパン |
| 慰安所があった時期 | 未記載 |
| 記載内容 | 其の当時こんな序列があった。曰く軍、官、軍属、慰安婦、一番終りに一般邦人。御多聞に洩れずバリクパパンでも一般邦人は員数外に扱われて居った。例えば猫の額程の街で戦火に大半焼跡と化した残りの主な建物には、二根司令部と燃料廠と民生部が隙間なくつまって居た。銀行には金庫室の備えもなく、月のさし込む様な支配人社宅の茅屋には、石油ランプの灯が侘しくゆらめいて居たが、街の高台の一角には、日本の芸者衆が和蘭風の館から南海の眺望を恣にして、其の丘の登口には「此の山に登るべからず」と司令部の制札がいかめしく立ててあった。即ち数少い華商醸る所のチヤン酒を求め、且つは野村殖産に不味のブランデーをも之が割愛を懇請し、臭くて苦い地酒に酔った末は、ネシヤの慰安所に鬱をやるのが現地邦人の生活の略筋となった所以である。甚だ殺風景と言わねばならぬが、バリクパパンの生活の思い出は、正に味気なく殺風景なその生活雰囲気に止めを刺すのである。・・・ 即ち朝に必勝の信念を誓うに拘らず、ひねもす麻雀が賑い、碁が盛んとなり、よもすがらある限りの悪酒を喰い、慰安所に戯れ、時を消し日を送った所以である。 |
| 証言者 | 鈴木潔 |
| 証言者属性 | |
| 部隊名 | |
| 資料タイトル | 殉難行友追悼録 |
| 著者、公文書発信者など | 閉鎖機関株式会社台湾銀行特殊清算事務所・田村宏 |
| 公文書宛先 | |
| 発行日 | 1956.12.25 |
| 発行所 | 田村宏 |
| ページ | 444-445 |
| 出典備考 | 鈴木潔「バリックパパンとサマリンダー南の酒の想い出に綴るボルネオ終戦始末記ー」 |
| 備考 | バリクパパンは東カリマンタンの海岸沿いにある。 |