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資料の詳細

出典種別 兵士の回想録等
現在の地域情報バリ州
資料にある地域情報バリ島
慰安所があった時期
記載内容「おい、バリ島のSを見にいかんか」ある日の夕食後、参謀たちが思いがけぬ下世話なことをいい出した。とにかく、どこの占領地でも、慰安所だけは兵隊のために設営する必要があった。これを無視すると、保安は保てず、占領政策にも支障をきたすこととなる。・・・一つは、彼らに性欲のはけ口を与えてやることなのだ。だから、この戦線にも慰安隊と称する女性群が勇敢に進出している。・・・しかし、このバリ島には、そんな募集に応ずる女など見当たるはずがない。食糧は豊富だし、衣類や装飾に欲望もなく、それに軍票なんかそれほど信用していない彼女たちに、身を売ってまで満たしたい欲望なんてありようがない。そう信じきっていた私たちに、とつぜん提出された参謀の爆弾動議は寝耳に水の話だった。物怖じせぬ報道班員たちは、嬉しい夢を抱いて参謀の後につづいた。車を降りた私たちが、懐中電灯の明かりをたよりに、暗い村の露地を入った奥に目的の家はあった。不潔な部屋の薄暗い明かりの下に、栗色の肌をした女が、4.5名腰をおろし、黒目がちの大きな目を見張って、愛嬌もなく私たちを迎え入れた。
証言者吉田一
証言者属性報道班員
部隊名
資料タイトルサムライ零戦記者 カメラが捉えた零戦隊秘話
著者、公文書発信者など吉田一
公文書宛先
発行日1994.9.15
発行所光人社
ページ156-158
出典備考本資料は光人社NF文庫版である。単行本は1969年7月光人社刊。
備考 バリ島はジャワ島の東にある島である。行政区画上、バリ島とその東のペニダ島がバリ州に含まれる。
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