記載内容 | 私たちは率直に「参謀殿、私たちはラングーンからトラックに上乗りして3日がかりでここまで来たので疲れております。自分たちの手でトラックの便を求めても今日はもうないかも知れません。明日早くここを出て便を探しますから一泊だけさせて下さい」と改めて頼んでみたが、頑として聴き容れられなかった。仕方なくホテルの前の街道へ出て、通りかかる軍用トラックを停めては行先を訊ねるのだが、なかなか思わしいのがない。約1時間経った頃、荷台に3~4人の女性を乗せたトラックがやって来て、手を上げるとすかさず停まってくれた。助手台にいた浅黒い顔の将校が「お前たち、どこへ行く?乗せてやるぞ」と言いながら私たちの胸章を見て「おっ、お前たちは経理部の見習士官ではないか。烈へ赴任するのか」と訊く。「そうであります」と答えるとその大尉は嬉しそうな顔をして「俺は烈兵団経理部の三輪主計大尉だ。師団ではお前たちの着任を首を長くして待っているぞ。師団司令部はもうキヌの先まで前進しているが、俺は目下後方の任務で暫くマンダレーに駐在している。今夜はサガインまで行って泊り、明朝再び渡河してマンダレーへ帰る予定だからサガインまで送ってやる。乗れ」と言うので私たちは「渡りに舟」とばかり喜び、慰安婦らしい女たちを気にしながらも全員が早速その荷台に乗り込んだ。車は快適に走り続け、イラワジ河を渡って夕刻近くにマンダレーの市街地に入った。 |