強まる日韓の市民連帯 強まる嫌がらせ
池田恵理子(wam館長)
この夏は記録的な暑さが続きましたが、日韓の市民連帯の動きも活発で、“熱く”燃えました。6 月9 日には「希望のたね基金」(愛称「キボタネ」)が発足。これは2015 年末の日韓「合意」を無効として結成された韓国の「正義記憶財団」に連帯して、日本の支援者たちが立ち上げたものです。その背景には、「慰安婦」問題に無関心な日本の若者vs「慰安婦」支援に頑張る韓国の若者たち…という日韓ギャップが目立ってきたことがありました。キボタネの発足集会には、「正義記憶財団」理事で挺対協・共同代表の尹美香さんが記念講演に来日しました。
7 月からは東京でも水曜行動が始まりました。ソウルの日本大使館前の水曜デモは1992 年に始まり、この9 月13 日で何と1,300 回を数え、ギネスブック記録を更新中です。日本では大阪や広島など各地で連帯行動が行われてきましたが、東京でも7 月19 日より、毎月第3 水曜日に新宿駅西口でスタートしました。戦時性暴力問題連絡協議会のメンバーが順にメガホンで道行く人々に呼びかけ、チラシを配りました。
さらに8 月には、金学順さんが名乗り出た8.14 を国連の記念日にするための「慰安婦」メモリアル・デーです。第5回目の今年も各地でイベントがあり、大阪と東京では「慰安婦」問題と現代の性被害を語り合う集会(6 頁参照)、wamでは追悼のつどいを行いました(4 頁参照)。どこも大盛況でした。
ところがこうした動きが盛り上がる一方で、それを牽制する嫌がらせも目につくようになりました。尹美香さんが講演のために来日した8 月11 日、関西空港で異例の取調べを受けています。調査官は取調室で尹さんの来日目的や滞在日程、出迎え等を30分も問い質しました。尹さんは「26年間日本を行き来してきたが、こんな取調べは初めて。侮辱を感じた」と言っており、日本の支援団体では対応策を検討中です。
wam では、アジアの被害国と共同で「日本軍『慰安婦』の声」をユネスコの世界記憶遺産への登録申請に尽力してきたところを、右派からの誹謗中傷の的になり、去年の秋には「爆破予告」の脅迫状を送り付けられましたが、この5 月にも2 通目が届きました。被害届は出しましたが、警察は捜査を進めようとしません。しかし私たちはどんな嫌がらせや挑発があろうとも、一層熱く連帯を強めていきたいと思っています。