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戦時性暴力、「慰安婦」問題の被害と加害を伝える日本初の資料館

【9月15日から】wam沖縄展セミナーシリーズ始まります

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軍隊は女性を守らない―沖縄の日本軍慰安所と米軍の性暴力
wam第10回特別展セミナーシリーズ

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6月23日から始まった「軍隊は女性を守らない―沖縄の日本軍慰安所と米軍の性暴力」展を、より深く理解するための特別展セミナーシリーズです。
沖縄戦での「集団自決」、145ヵ所にのぼる慰安所設置と、今も続く基地周辺での米兵による性暴力。被害者・体験者の声に耳を澄ますと、国家や軍隊がいかに住民を守らないかがわかるようになり、戦争の構造が見えてきます。
【場 所】wamオープンスペース
【参加費】800円(入館料を含む。wam会員割引あり)
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 Vol. 1 ペ・ポンギさんを語る
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朝鮮半島から連行された「慰安婦」として初めて被害体験を語ったのは、戦後を沖縄で暮らしたペ・ポンギさんでした。1975年、特別在留許可を得る際に、渡嘉敷島で「慰安婦」にされたことが新聞で報道され、その後、ペさんを描いた映画やルポ、テレビ番組も制作されました。ペ・ポンギさんの存在は、韓国と沖縄を繋ぎ、沖縄の女性たちがいち早く「慰安婦」問題に取り組むきっかけになりました。
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 2012年 9月15日(土)14:00~16:00
 聞き取りからみえたペ・ポンギさんの生
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【お話】川田文子さん(かわたふみこ/ノンフィクション作家)
川田さんは1977年から5年間、ペ・ポンギさんの家に通って聞き取りを続け、87年に『赤瓦の家』を上梓しました。「慰安婦」にされ、戦後も身を売って各地を転々とせざるをえなかったペ・ポンギさんとの出会いは、川田さんの人生にも深い影響を与えたといいます。ペ・ポンギさん、そして沖縄で出会った被害女性への聞き取りを通して見えてきたという、「慰安婦」制度がもたらした被害について語っていただきます。
【ゲスト紹介】
1943年、茨城県生まれ。ノンフィクション作家、在日の「慰安婦」裁判を支える会事務局。日本軍の性暴力被害者、在日女性などをテーマに取材を続けている。著書に『赤瓦の家―朝鮮から来た従軍慰安婦』(筑摩書房)、『皇軍慰安所の女たち』(筑摩書房)、『女という文字、おんなということば』(明石書店)、『自傷―葛藤を〈生きる力〉へ』(筑摩書房)など。現在、在日の女性のインタビューを雑誌『世界』(岩波書店)に連載中。
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 2012年 9月29日(土)14:00~16:00
 ペ・ポンギさんとの交流をとおして
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【お話】金賢玉さん(キムヒョノク/元朝鮮総連 沖縄県本部職員)
金賢玉さんは、夫の金洙変(キム・スソップ)さんとともに、身寄りのないペ・ポンギさんの支援を続け、住居や生活のお世話、食事、旅行などを通じた交流は、1991年にペさんが亡くなるまで続きました。wamの特別展でお借りしたペさんの遺品は、金さんが今も管理しているものです。17年にわたる交流を通してわかってきたペ・ポンギさんの素顔やその変化をお聞きします。
【ゲスト紹介】
1942年、兵庫県生まれ。1972年、沖縄の本土「復帰」直後に兵庫県から沖縄へわたり、在沖朝鮮人支援活動を始める。1991年にペ・ポンギさんが亡くなるまで、身近なところでペさんを支え続けた。
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 Vol. 2 沖縄戦を知る
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日本中で唯一地上戦を経験した沖縄、本土決戦を遅らせるための捨石とされた沖縄――。
沖縄の戦後は、沖縄戦の凄惨な実相を少しずつ明らかにしながら、人々が戦争の記憶を取り戻していく過程でもありました。私たちが沖縄戦とその戦後史から学ぶべきことは何なのか、いっしょに考えてみませんか。
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 10月20日(土)14:00~16:00
 沖縄戦とは何だったのか
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【お話】林博史さん(はやしひろふみ/関東学院大学教員)
1980年代後半から沖縄戦の研究を始めた林さんは、体験者の証言を集めるとともに、徹底して日米の資料を掘り起こし、人々の行動と意識を探ろうとしてきました。そこで「皇民化された沖縄の人々が日本軍に虐待され、死を強制された」という被害者イメージだけではとらえられない現実に出会ったと言います。この間の研究を通して見えてきた沖縄戦の実相を語っていただきます。
【ゲスト紹介】
1955年、神戸市生まれ。関東学院大学教員、日本の戦争責任資料センター研究事務局長。専攻は日本近現代史で、「慰安婦」問題、沖縄戦、BC級戦犯裁判の研究で知られる。著書に『裁かれた戦争犯罪―イギリスの対日戦犯裁判』(岩波書店)、『沖縄戦と民衆』(大月書店)、『BC級戦犯裁判』(岩波新書)、『沖縄戦―強制された「集団自決」』(吉川弘文館)、『米軍基地の歴史』(吉川弘文館)など。
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 11月23日(祝)14:00~16:00
 体験者に向き合い、伝えていくこと
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【お話】謝花直美さん(じゃはななおみ/沖縄タイムス記者)
謝花さんは「女性であり、沖縄県人である」というジェンダーとマイノリティの視点から、一貫して沖縄戦の取材をしてきたジャーナリストです。「集団自決」の生存者や戦争孤児たちなど、文献資料からはこぼれてしまう声や、長い間沈黙せざるをえなかった人々の体験を伝えてきました。それは「本土」のマスコミへの痛烈な批判となり、戦後も沖縄を切り捨ててきた日本を静かに告発しています。
【ゲスト紹介】
1962年、沖縄生まれ。1990年、沖縄タイムス記者となり、社会部、通信部、学芸部などを経て、現在は特報チーム記者。沖縄戦、「集団自決」、沖縄戦後史などを担当。著書に『戦場の童―戦場の孤児たち』(沖縄タイムス社)、『証言沖縄「集団自決」』(岩波新書)、『観光コースでない沖縄』(共著/高文研)など。