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戦時性暴力、「慰安婦」問題の被害と加害を伝える日本初の資料館

(12/20)証言をどう聞くのか~証言が証拠になるとき~ シンポジウムのお知らせ

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証言をどう聞くのか
~証言が証拠になるとき~

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日 時:12月20日(土)13:30~16:30
場 所アバコチャペル(wamと同じ階)
参加費:1000円(会員割引はありません)
 
この8月の「慰安婦」問題をめぐる朝日新聞の訂正記事から始まったメディアと政治家による朝日バッシングをきっかけに、「証言は信用ならない」とする考え方が広がっているように見えます。「いわゆる強制連行を直接示すような記述も見あたらなかった」という2007年の閣議決定は、なんの留保もなく「強制連行の証拠はない」という言葉に置き換えられ、被害当事者は「嘘つき」呼ばわりまでされています。厳しい戦後を生き抜き、長い沈黙を破って名乗り出た被害女性へのこのような言動は、セカンド・レイプに等しい加害行為ではないでしょうか。
一方で、証言が常に疑惑・不信感にさらされるのは、性暴力被害女性たちが証言をする際の常であり、そこでは「聞く側」の力量が問われてこなかった現状があります。アジア各地の「慰安婦」被害者の証言を聞き取ってきた者たちも、「証言に齟齬がある」「証言内容が変わってきた」といった問題に直面することは珍しくありませんでした。そのたびに彼女たちの発する言葉から、いわば核心ともいえる事実を見出しつつ、60年前の性被害の証言を聞くとはどういうことなのか、模索し、試行錯誤を続けてきました。
そこでこのシンポジウムでは、長年、性暴力被害者の証言に向き合ってきた弁護士、心療内科医、歴史家をお招きします。それぞれの専門分野から「証言をどう聞くのか」を語っていただき、「証言」が明らかにする事実について、改めて考えていきたいと思います。
 
パネリスト紹介
角田由紀子(つのだゆきこ)さん
弁護士。1986年から「東京強姦救援センター」アドバイザー。セクシュアル・ハラスメントやDV問題の草分け的存在で、当事者の声を尊重し向き合いながら多くの性暴力事件を手がける。2004- 2013年、明治大学法科大学院で「ジェンダーと法」を担当、実務家教育のなかで人権を創りだす意味を伝える。法務省で始まった性犯罪の罰則に関する検討会委員。著書に『性の法律学』(1991年)、『性差別と暴力』(2001年)、『性と法律』(2013年)など。
桑山紀彦(くわやまのりひこ)さん
心療内科医。1990年代よりイラク、カンボジア、ソマリア、旧ユーゴ、東ティモール、ガザなどの紛争地や災害現場での国際医療支援活動に携わる。98年には山西省「慰安婦」裁判の原告6人の聞き取りを行い、PTSDの症状を診断し、東京地裁で認定された。宮城県で開業しているクリニックは東日本大震災で被災したが、診療を途切れさせることなく治療とケアにあたっている。「地球のステージ」のコンサート活動で、“歌う精神科医”としても知られる。
石田米子(いしだよねこ)さん
岡山大学名誉教授。専門は中国近現代史。「山西省における日本軍性暴力を明らかにし、大娘たちとともに歩む会」の共同代表。1996年から山西省の性暴力被害者の聞き取り調査を始め、98年からは裁判訴訟の支援と医療支援を続け、被害女性や村人たちへの聞き取りと資料発掘を行ってきた。2007年からは、中国各地での日本軍性暴力パネル展開催にも取り組む。編著書に『黄土の村の性暴力』(2004年)、『ある日本兵の二つの戦争』(2005年)など。