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戦時性暴力、「慰安婦」問題の被害と加害を伝える日本初の資料館

wam第13回特別展セミナー「戦争と植民地支配の責任と性暴力―日本・インドネシア・オランダ」

wamの特別展をより深く理解するための連続セミナーのご案内です。(全4回、単回参加も可)
「慰安婦」被害をはじめ、日本軍によるインドネシア占領下の暴力の実態を深く理解するためには、オランダによる植民地支配への視点も欠かせません。インドネシア・オランダ、それぞれに違う焦点を当てて、戦争と植民地支配がもたらした暴力について考えます。
場 所:wamオープンスペース
時 間:18:30~20:30
参加費:800円(会員割引あり)


 
第1回 2016年1月15日(金)
日本の「南進」とインドネシア―ジャワの敵国人強制収容を中心に
ゲスト:内海愛子さん(日本アジア関係史、恵泉女学園大学名誉教授)
大学時代から在日韓国・朝鮮人差別をテーマに研究してきた内海さん。後にインドネシアの大学で日本語教師をしながら、インドネシア独立運動に参加した朝鮮人や朝鮮人BC級戦犯の問題を調査する中で、捕虜、戦後補償問題へと関心を広げていきました。当時、蘭領東インドと呼ばれたインドネシアで日本はどのような軍政をしたのか、捕虜やオランダの女性や子供たちがどのように扱われたのか。戦後、オランダが日本軍の虐待の証拠として制作し、東京裁判の法廷で上映した証拠映画を観た後、裁判のためにオランダが集めた資料等を読みながら話してもらいます。


第2回 2016年1月29日(金)
インドネシアの「慰安婦」被害者を支えつづけて
ゲスト:木村公一さん(福岡国際キリスト教会牧師)
木村さんは1986年から2002年までの17年間、日本バプテスト連盟の宣教師としてインドネシアに赴任し、中部ジャワの神学大学で教えてきました。その間、「慰安婦」被害者の証言の発掘と調査に打ち込み、現地とのパイプ役や日本の支援団体の育成にも尽力。今は福岡で牧師のかたわら大学で教鞭を執っていますが、被害女性を支える活動も続けています。長年にわたる被害女性たちとの人格的な交流を通してみえてきた、インドネシアでの「慰安婦」被害の実態と彼女たちの人生を語ってもらいます。


第3回 2016年2月12日(金)(予定)
戦後70年、オランダの植民地責任を考える
ゲスト:吉田信さん(オランダ植民地研究、福岡女子大学准教授)
オランダと旧植民地との関係について歴史と現在の二つの視点から研究を続けている吉田さん。運河や風車、チューリップなどの牧歌的イメージや、近年ではワーク・シェアリングの事例で注目を浴びるオランダですが、実は東西両インドという植民地を有していた帝国でした。敗戦により植民地を放棄させられた日本とは異なり、オランダは脱植民地に直面する中で多くの命を奪い、失いました。この数年、脱植民地化の過程でオランダ軍の犯した非人道的行為が裁かれています。植民地責任をめぐるオランダでの動向を最新状況も含めて紹介してもらいます。


第4回 2016年3月4日(金)
インドネシアの「慰安婦」被害者の人生を言葉にする
ゲスト:川田文子さん(ジャーナリスト)
沖縄に残留したペ・ポンギさん、在日の宋神道さん、そして日本人の被害女性への聞き取りに、早くから取り組んできた川田さんは、1995年~96年、「戦後補償実現市民基金」調査チームとしてインドネシアでの現地調査に参加しました。その記録、『インドネシアの「慰安婦」』(明石書店、1997年)は、現地の日本軍による性暴力の実態を伝える貴重な1冊になっています。さまざまな国の被害女性と出会ってきた川田さんに、イスラム社会・インドネシアにおける被害の特徴と、被害女性たち一人ひとりの人生について伺います。