wamが日本平和学会・平和賞を受賞!
池田恵理子(wam館長)
会員メーリングリストでも報告していますが、このたびwamは日本平和学会の第4 回平和賞を受賞しました。安斎育郎さん(立命館大学名誉教授・立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長)との同時受賞です。11月9 日、明治学院大学で日本平和学会の秋季研究集会が開かれ、授賞式が行われました。選考理由は、以下の通りです。
2005年に開設されたアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」は、戦時性暴力に焦点を当てた記録・展示・情報発信・研究活動の拠点として、とりわけ日本軍「慰安婦」問題に関する理論、運動および社会認識の深まりに特筆すべき貢献を果たしてきた。
開設年に開催された第1 回特別展「女性国際戦犯法廷のすべて」と第2 回特別展「松井やより 全仕事」は、本資料館が依拠するジェンダー正義および民衆性の理念を集約的に体現し、その後も、常設展示、特別展示、国際シンポジウムなどを通して、本資料館は性暴力なき未来を志向する多くの人々に勇気を与え、その知的・実践的な拠り所となってきた。本資料館は、民衆の視点に立った「慰安婦」関係資料の持続的収集と社会への働きかけにおいて他の追随を許さず、東チモールにおける戦時性暴力や米軍駐留下の性暴力の問題などへの取り組みも併せ、その活動は、ジェンダーの視座と、人種主義・植民地主義の克服が平和の実現に不可欠であることを内外に広く知らしめるものとなっている。
戦時性暴力の被害者の正義が実現され、戦争や女性への暴力のない社会を希求する本資料館の活動は、人種主義が台頭し、東アジアの国家間関係が緊張する現下の困難な時代状況にあって、ますます重要性を帯びている。「慰安婦」問題の解決は、被害者の尊厳の回復を促し、また、性暴力の温床となる社会構造の変革と東アジアにおける平和の達成に本質的な次元で寄与するものにほかならない。明確なコミットメントをもって、ひるむことなく所期の目的を追求する本資料館の誠実な活動が平和運動および平和研究に果たした貢献は顕著であり、日本平和学会は、その活動を称え、同資料館に第4 回平和賞を授与する。
wam一同、このような素晴らしい評価に感激しましたが、この知らせを「慰安婦」問題や女性運動のメーリングリストに流したところ、たくさんの祝福の言葉が寄せられました。「『慰安婦』問題を巡る政治情勢は『迷走』を続けていますが、安倍の『暴走』を許さなかったのはwamの活動の成果です」(東京造形大学・前田朗)、「wamは、恐るべき右傾化の潮流に流されずに立つ杭です。これを機会にもっと多くの人たち、とくに若者が来館し、歴史に触れ今を考えるようになればいいですね」(ピープルズ・プラン研究所・武藤一羊)、「受賞理由として述べられた言葉にwamの存在意義と果たされた役割、そしてこれからの可能性が込められていて、胸を打たれます」(日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク・方清子)、「本当に嬉しくなりました。wamの活動がこんなにも具体的に正確に、実に正当に評価され、期待と応援をこめて授賞が決められたなんて!」(山西省・明らかにする会・石田米子)など。
wamの活動が高く評価されたのも、このような多くの方々や諸団体の支援活動や調査・研究があってこそのものです。それを誰もが納得しあい喜びあってくださるから、こんなにも嬉しいのだ…と実感し、感謝の念に堪えません。皆さん、ほんとうにありがとうございました。これからもともにがんばっていきましょう!