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戦時性暴力、「慰安婦」問題の被害と加害を伝える日本初の資料館

「wamだより」VOL.38(2018.3)

wam_vol38のサムネイル
  • 巻頭言
  • 特集 日韓「合意」:日韓「合意」で「慰安婦」問題は終わらない
  • 報告:wam第15回特別展連続セミナーvol.2 (1)(2)
  • 報告:wam第15回特別展 スペシャル・トーク
  • 被害女性たちが日本各地で語った「声」を保存する取り組みへ
  • 「この本読んで!」寄贈図書自薦コーナー
  • リバティおおさかの裁判闘争と自主運営にご支援を!
  • 連載 ベルリンからの風vol.14
     「この人たちを見てほしい!」街頭に出たサバイバーのポートレート
  • 連載 扉をひらく14
     福山で取り組んできた日本軍性奴隷制問題
  • 連載 被害女性たちの今35 【在日】
  • イベントカレンダー
  • wamデータ
  • アーカイブズ雑学
【巻頭ページ】

#MeToo運動の元祖は「慰安婦」の被害女性たち

池田恵理子(wam館長)

在日の「慰安婦」裁判を闘った宋神道さんが昨年12 月16 日、95 歳で亡くなりました。宋さんについては川田文子さんの追悼文をお読みください(15 ページ)。2 月25日に東京で開かれた「お別れの会」では、美しい花に囲まれた満面の笑みの遺影と、「支える会」の人たちの愛に溢れた弔辞から、宋さんはほんとうに幸せな人だったなぁ…と、改めて思いました。凄惨な被害体験を証言することの辛さは計り知れませんが、宋さんはやがて「裁判かけて体験を話してから、ちっとは安心したよ。オレも少しは人間らしくなった」と言うようになります。そして表情が晴れ晴れと元気になっていきました。心療内科医が言うように、裁判そのものが宋さんのPTSD を癒していくかのようでした。

wam では今、「日本人『慰安婦』の沈黙」展を開催中です。ここではアジア各地の慰安所に送りこまれた日本人「慰安婦」の記録を丹念に集めていますが、城田すず子さんなど限られた人以外は、1990年代にアジアの「慰安婦」被害者が次々と名乗り出てからも、ほとんどの人が自らの体験を語りませんでした。名乗り出から始まった宋神道さんの幸せな後半生を思うと、沈黙せざるをえなかった女性たちには「治癒」が叶わなかったのではないか…と思わずにはいられません。

性暴力被害を告発しようと訴える#MeToo(私も)運動が今、世界を席巻しています。2 月23 日のヒューマンライツ・ナウのシンポジウム「#MeToo からChangeへ」では、性暴力被害を訴えて活動を始めた人たちや支援者の話を聞きました。ジャーナリストの伊藤詩織さんは自らの被害体験や2 次被害を語りながら、「日本ではなかなか#MeToo を言いにくいなら、#WeToo(私たちは行動する)運動にしませんか」と呼びかけました。これは少しずつ広がっています。

被害者を支援するWithYou 運動も始まっている韓国では、3 月7 日から9 日まで、「慰安婦」問題解決をめざす第15 回アジア連帯会議が開かれましたが、ここでは「1991 年に名乗り出た金学順さんこそ、#MeToo 運動の創始者」という発言を何度も聞きました。全くその通り!「 慰安婦」被害を訴え出ることで、人生を前向きに生き始めた人たちを知っている私たちも、#MeTooや#WeTooを支持していきたいと思います。