「慰安婦」問題に関する意見書
かつての戦争において、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから、既に67年を経たが、いまだに人々の戦争被害の傷はいやされていない。そして直接の被害者のみならず、その子孫も親世代が傷つき、いやされていないことで傷ついている。日本軍「慰安婦」問題は、その象徴的な被害である。
近年、フィリピンの外交委員会や韓国、台湾の議会など関係諸国の議会でも、日本政府に対し、「慰安婦」問題の責任を認め、公的に謝罪することを求める決議が採択され、国連などの国際的な人権擁護機関からも早期解決を求める勧告が出されている。このように、国際社会は「慰安婦」問題を現在に通じる重大な人権侵害と認識し、日本政府が誠実に対応することを要請している。
「慰安婦」問題に誠実に対応することは、戦争を遂行するために女性の性が利用されるという人権侵害が二度とないようにするという日本政府の世界への意思表示となる。さらに、アジアの人々の戦争被害の傷をいやし、和解し、平和的に共存していく道筋を作ることとなる。
1993年の河野内閣官房長官談話では、第一次、第二次調査を経て、「我々は、このような歴史の真実を回避することなく、むしろ教訓として直視し、歴史研究、歴史教育を通じ永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を表明し、今後とも民間の研究を含め、十分に関心を払っていきたい」旨の発表がなされている。この精神を維持、発展させ、内容を具体化することが、問題解決へとつながるものと確信する。かつての戦争から長い時間を経て、被者の訃報が相次ぐ中、被害者の存命中に納得できる解決が急がれている。
よって、国は、下記の事項について誠実に対応をされるよう強く要請する。
記
1 河野談話に矛盾しないよう「慰安婦」問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復に努め、誠実な対応を図ること。
2 「慰安婦」問題の歴史を踏まえ、次世代に事実を伝えるよう努めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年9月26日
奈良県広陵町議会
内閣総理大臣 野田佳彦様
外務大臣 玄葉光一郎様
文部科学大臣 平野博文様
厚生労働大臣 小宮山洋子様
財務大臣 安住淳様