米国下院「慰安婦」謝罪決議(H.Res.121)全文
アメリカ合州国下院にて
2007年7月30日
日本政府は、1930年代から第二次世界大戦中、アジアと太平洋諸島の植民地支配および戦時占領の期間において、日本軍への性的隷属を唯一の目的として、やがて世界に「慰安婦」として知られるようになった若い女性たちの確保を公式に行わせたものであり、
日本政府による強制軍事売春たる「慰安婦」制度は、その残酷さと規模において前例のないものであるとされ、集団強かん、強制中絶、屈従、そして身体切除、死、結果的自殺に至った性暴力を含む、20世紀でも最大の人身取引事件の一つであり、
日本の学校で使用されている新しい教科書には「慰安婦」の悲劇やその他第二次世界大戦中の日本の戦争犯罪を軽視しようとするものがあり、
日本の公人私人が最近になって、「慰安婦」の苦労に対し日本政府の真摯なお詫びと反省を表明した1993年の河野洋平内閣官房長官の「慰安婦」に関する声明を、弱めあるいは撤回する欲求を表明しており、
日本政府は1921年の「婦人及児童ノ売買禁止ニ関する国際条約」に署名しており、また武力紛争が女性に与える特別な影響を認めた2000年安保理の「女性、平和と安全保障に関する決議1325号」を支持したものであり、
下院は人間の安全保障、人権、民主主義的価値観および法の支配を促進しようとする日本の努力を、安保理決議1325号支持国となったこととともに賞賛するものであり、
日米の同盟関係はアジア太平洋地域における米国の安全保障利益の礎であり、また地域的安定・繁栄にとって基本的なものであり、
冷戦後の戦略的展望の変化にかかわらず、日米同盟は、政治的経済的自由の保護促進、人権・民主的制度への支援、両国ならびに国際社会の人々のため繁栄を確保することなど、アジア太平洋地域における共通の重要な利益と価値に基づくものであり続けるものであり、
下院は、1995年に日本の民間基金たるアジア女性基金の設立をもたらした日本の公人および民間人の努力と情熱を賞賛するものであり、
アジア女性基金は日本の人々からの「償い」を慰安婦(ママ)に届けるべく570万ドルの寄付金を集めたものであり、
政府によって着手され資金の多くを政府に負う民間基金であり、「慰安婦」の虐待と苦労に対する償いのためのプログラムやプロジェクトを実行することが目的であったところのアジア女性基金の任務が、2007年3月31日をもって終了し、基金が同日をもって解散することから、
今や以下が下院の認識であることを決議する。日本政府は
(1) 1930年代から第二次世界大戦中のアジアと太平洋諸島の植民地支配および戦時占領の期間において、日本軍が若い女性たちに世界に「慰安婦」として知られるようになった性奴隷制を強制したことを、明確かつ曖昧さのない形で正式に認め、謝罪し、歴史的責任を受け入れるべきである。
(2) もし日本の首相がそのような謝罪を、首相としての資格で公式声明として発表するならば、これまでの声明の誠実さと位置づけについて繰り返されてきた疑問を解決する姿勢を示すこととなるであろう。
(3) 日本軍のための「慰安婦」の性奴隷化と人身取引はなかったとする如何なる主張に対しても、明確かつ公的に反駁すべきである。
(4) 「慰安婦」に関わる国際社会の数々の勧告に従うとともに、この恐るべき犯罪について現在および未来の世代に対して教育すべきである。