wamが所蔵する資料、寄贈を受けた資料等を閲覧していただけるように準備を進めています。所蔵資料を社会に開き、研究活動や市民運動などに活用していただきたいと考える一方で、wamの所蔵資料は日本軍「慰安婦」制度という軍隊による性暴力被害の資料や、それらを調査する過程での個人情報など、扱いを慎重にすべきものが多々含まれています。
ミュージアムとして開館し、アーカイブズ専用のスペースを持たないwamで、どのように資料を収集・閲覧できるようにするか、試行錯誤を重ねています。例えば、個人から寄贈いただいた資料のうち、日本軍「慰安婦」に関連する書籍やニュースレター等の定期刊行物は、個人コレクションとして保管せず、「wamライブラリー」に寄贈者の名前を明記する方法にして、閲覧に供してきました。
2024年4月より、まとまった資料群として目録を作成した資料について、閲覧の準備を整えました。閲覧の手続きは各資料群によって異なりますので、以下をご確認ください。
wamは、通常はミュージアムとして開館しており、アーカイブズ専用の閲覧室を持ちません。当分の間、資料の安全を確保するため、一般来館者のない木曜日を資料閲覧日にします。閲覧には事前のお申込みが必要です。
毎週木曜日の午後13-18時 (祝日等に当たる場合は休館)
⇒ 「かにた婦人の村」に住んだ城田すず子さんの資料の閲覧できます。閲覧には、「かにた婦人の村」での面接および許可が必要です。なお、写真撮影など特別な場合を除いては、コピーを閲覧していただいています。
⇒ 文玉珠さんの証言を聞き取り『文玉珠 ビルマ戦線楯師団の「慰安婦」だった私』(梨の木舎、1996年〔2015年、新装増補版〕)を世に出した森川万智子さんの寄贈資料です。個人的な資料も含まれており、現在、閲覧可能なものから目録を作成中です。閲覧には申請が必要です。
⇒ 2023年4月にデータベースを公開した「松井やよりが書いたもの」記載されている資料は、wam館内で出版物や刊行物の原本が閲覧できます。データベースをご確認のうえご来館ください。開架しておりますので、wam開館中の閲覧が可能です。
なお、松井さんが収集・保管していた資料のうち、環境関係は立教大学共生社会研究センターが所蔵しており、閲覧が可能です。また、松井さんが収集したジェンダー関係の書籍は、和光大学にライブラリーがあります。
その他に、松井さんが遺した100箱あまりの膨大な紙資料はwamで保管していますが、目録作成はできておらず、今後の課題です。
⇒ 「女性国際戦犯法廷アーカイブズ」で、法廷に提出された資料および判決等、公開可能な資料をオンラインで公開しています。準備過程の資料等の目録は今後の課題です。
wamでは2015年より「日本軍『慰安婦』アーカイブズ」の準備を進めていました。日本軍「慰安婦」として受けた被害について、アジア太平洋各地から来日して日本の人たちに証言をした日本軍の「慰安婦」にされた女性たちの証言を、加害国・日本の人たちに引き継いでいきたいと調査・収集を進めています。1990年代はまだカセットテープなど、磁気テープの時代で、紛失や劣化が心配されています。なかったことにしないためのかけがえのない資料ですので、お持ちの方、心当たりのある方は、どうぞwam事務局にご連絡ください。これらの資料の公開については、「日本軍『慰安婦』の声」データベースとして、何がどこにあるかを公開できるよう、準備を進めていきたいと考えています。