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日本軍「慰安婦」メモリアル・デー2024
記念シンポジウム「和解という名の暴力」
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韓国の日本文学研究者、朴裕河さんが著した『和解のためにー教科書・慰安婦・靖国・独島』(平凡社、2006年)が大佛次郎論壇賞を受賞し、「自国のナショナリズムを批判する韓国の良心がやっと現れた」と称揚されたできごとは、日本社会に深く内在する植民地主義のありようを改めて認識する機会となりました。
2014年には、被害者による名誉棄損の訴えで話題にもなった『帝国の慰安婦』(朴裕河著、朝日新聞出版)が出版されましたが、文学者の手によるこの書籍は歴史研究者から綿密な検証がなされ、すでに歴史学の文献として扱えないことは明らかになっています。それでもなお、著名な知識人や全国紙が彼女の発言を重んじるのはなぜなのでしょうか?
本シンポジウムでは、植民地主義を思想史的に批判してきた早尾貴紀さん、韓国での性搾取の問題にとりくんできた古橋綾さんをゲストに迎えて、継続する日本の植民地主義の視点から「和解」を考えます。
「和解」はなぜ心地よく響くのか。「和解」を称揚し、拡散する言論空間は、日本社会にどのような影響を与えているのか。そもそも誰のための「和解」なのか? この課題を指摘し続け、昨年急逝した徐京植さんの論文からシンポジウムのタイトルを借用しました。ぜひご参加ください。
日 時:2024年8月14日(水)14:00~17:00
会 場:AVACOチャペル(定員70名/要予約・先着順)*wamと同じ階です。
参加費:1000円
申込み:Googleフォームから *オンラインは翌日夕方からの後日配信です。
※会場参加は定員に達したので申し込みを締め切りました。オンライン後日配信のみ受付を継続しています。
ゲスト:
早尾貴紀さん(東京経済大学教員)
「和解論の欲望―日本人リベラリストたちはどこで躓いたのか」
古橋 綾さん(岩手大学教員)
「フェミニスト視点から和解論を考える」
ゲスト紹介
はやお・たかのり
パレスチナ/イスラエル問題、社会思想史。東北大学在学中に宋神道さんの裁判支援運動に関わる。主な著書に『希望のディアスポラ―移民・難民をめぐる政治史』(春秋社、2020年)、『パレスチナ/イスラエル論』(有志舎、2020 年)、主な共編著に『ディアスポラから世界を読む―離散を架橋するために』(明石書店、2009年)、『残余の声を聴く―沖縄・韓国・パレスチナ』(明石書店、2021年)、主な共訳書にサラ・ロイ『ホロコーストからガザへ―パレスチナの政治経済学』(青土社、2009年)、イラン・パペ『パレスチナの民族浄化―イスラエル建国の暴力』(法政大学出版局、2017年)。
ふるはし・あや
社会学、ジェンダー研究。韓国で日本軍「慰安婦」運動、米軍基地村女性支援運動、反性売買運動などにかかわってきた。主な翻訳書(共訳含む)に韓国挺身隊問題対策協議会『記憶で書き直す歴史―「慰安婦」サバイバーの語りを聴く』(岩波書店、2020年)、康誠賢『歴史否定とポスト真実の時代―日韓「合作」の「反日種族主義」現象』(大月書店、2020年)、ポムナル『道一つ越えたら崖っぷち―性売買という搾取と暴力から生きのびた性売買経験当事者の手記』(アジュマ、2022年)、主な共編著に『ジェンダー分析で読む女性史入門』(岩波書店、2021年)、『韓国学ハンマダン』(岩波書店、2023年)。
日本軍「慰安婦」メモリアル・デー とは
8月14日は、1991年に韓国の金学順さんが日本軍「慰安婦」被害者として初めて名乗り出た日です。戦争と戦後を生き抜いた女性たちが、自らの尊厳の回復を求めて闘ってきた歴史を記憶にとどめるために、この日を「日本軍『慰安婦』メモリアル・デー」にしよう―2012年12月、台湾で開かれた第11回日本軍「慰安婦」問題解決アジア連帯会議で決まり、今では世界各国で様々なイベントが開催されています。
wamでは2017年から、訃報が届いた女性たちにお花を捧げる「追悼のつどい」を午前中に、記念イベントを午後に開催しています。