衆参両院議長の主導によって、皇族数の確保のための皇室典範改正の議論が進んでいます。私たちは、「立法府の総意」を「国民の総意」とすりかえ、差別と家父長制の象徴たる天皇制を延命させる企てに、断固反対の意を表明します。
1、天皇制は、日本に根深く存在する差別と家父長制の象徴です。
明治以降、欧米諸国にならって近代化を推し進めた日本は、「万世一系」の天皇を頂点とした統治体制をつくりあげました。ありもしない「純粋な日本人の血」というファンタジーを強化し、愛国とナショナリズムを培養する天皇制のもとで、植民地支配と侵略戦争が遂行され、多くの命を奪いました。敗戦後もその責任に向き合うことなく天皇制は維持され、新憲法のもとでも天皇は「世襲」として位置づけられました。
今般の「皇統」に属する男子を皇族に復活させる皇室典範改正案は、法の下の平等を定めた憲法14条違反であるとともに、「男子の血」によってのみ「万世一系」が受け継がれるとの非科学的な思想を再生産するものにほかなりません。側室が認められていた明治天皇の時代には、子を産めなかった皇后の代わりに、五人の側室の一人が男子を産み、大正天皇となりました。しかし、現在の天皇制においては、皇太子のたった一人の妻に子どもを産まない選択肢はなく、さらに産んだ子が女子であれば、その子に皇位は継承されず、産んだ妻はバッシングの対象にさえなることが明らかになっています。「女性は子を産む機械」、まさにそれが皇室の現実です。日本に根深く存在する差別と家父長制を強化する天皇制に未来はありません。
2、「立法府の総意」は、「国民の総意」ではありません。
日本国憲法第1条は、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定しています。しかし新憲法制定時に「国民の総意」は問われていないことを、改めてここで確認したいと思います。そしていま、戦後初めてとなる皇室典範改正にあたって、「立法府の総意」を確認する手続きがとられていますが、これは、天皇明仁(現上皇)が2016年に退位の意向を示したのち、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」を議論するために、大島理森衆議院議長(当時)らがあみだした恣意的な手続きでしかありません。
新憲法にともなって制定された皇室典範は、一般法と同じです。にもかかわらず、「静謐な環境」という名目のもと、国会での審議や参考人招致をせず、“皇室の尊厳を損わない”ように多数決を避け、政党間の事前の談合によって国会での全会一致を装うこの方式は、「国民」の反対意見を不可視化し、「国民の総意」というフィクションをつくりあげるものです。そのうえ、「国民を代表する国会」において女性国会議員は2割にさえ届かず、「立法府の総意」は「国民の総意」にはなりえません。
3、皇室典範の改正は必要ありません。
21世紀のいま、性や民族、身分による差別を強化する天皇制を維持するために、皇室典範を改正する必要はありません。皇族の女性は、皇室を離れて人間としての権利を得る可能性がありますが、皇族の男性にはその自由さえありません。「男系世襲」という伝統にのっとり、現在の天皇が亡くなれば秋篠宮が、その後は望もうと望むまいと悠仁が天皇となり、悠仁が女性との婚姻をのぞみ、妻になってくれた女性が子を産むことをのぞみ、生まれた子が女子のみであった場合には、天皇制は潔く終焉を迎える―。それこそが、新憲法のもとでもなお、天皇制を維持してきた結末にふさわしいのです。女性天皇容認でも、「皇族数の確保」でもなく、天皇制の廃止こそが、法の下の平等やジェンダー平等、あらゆる差別と家父長制から私たちを解放することにつながるのです。誰も幸せにしない天皇制からの解放を、今こそ求めます。
2026年6月23日
呼びかけ団体
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)
ふぇみん婦人民主クラブ
声明のPDFはこちら(6月25日、若干の字句修正を入れました)。
個人・団体賛同を求めています。賛同フォームはこちら(FramaForms、締切:2026年7月3日正午)。