会期:2011年7月2日(土)- 2012年6月17日(日)
「『慰安婦』被害者は名乗り出て…というラジオからの呼びかけを聞いた時、全身に衝撃を覚え、血が白くなったように感じました」と語ったのは、フィリピンで初めて名乗り出たマリア・ロサ・ルナ・ヘンソンさん。彼女の告発から、400人あまりのロラ(タガログ語で「おばあさん」)たちが立ち上がりました。
大小7000あまりの島があり、人が住む島は1000もあるという群島国家・フィリピン。
第二次世界大戦中、日本軍はアメリカ軍とフィリピンの人々の抗日運動に追い詰められながらも、おびただしい数の慰安所、強かん所を作り、戦場強かんを繰り広げました。
このフィリピン版の三光作戦(殺し尽くし、焼き尽くし、奪い尽くす)とも言える実態が、近年の証言の聞き取りや資料の発掘で明らかになってきました。そこにはロラたちの勇気ある名乗り出と闘いが決定的な役割を果たしました。
今回の特別展では、ロラたちを支援してきた市民グループや調査・発掘に取り組んできた研究者の方々の力を借りて、フィリピンでの性暴力被害の全体像と最新情報をお伝えします。また米軍基地撤収後も続く派遣米軍によるレイプ事件、日本からの開発・援助という名の「経済侵略」、買春ツアー等に対する女性たちの新たな闘いにも注目します。