wamで現在開催中の第13回特別展「アジア解放の美名のもとに~インドネシア・日本軍占領下での性暴力」において展示中のパネル記述の訂正を行いました。
訂正を行ったのは「インドネシアの慰安所と性暴力」というパネルの一節です。
Twitter上で来館者からのつぶやきがあり、またメールでの訂正を求めるご意見をいただきました。ご指摘はとても重要な内容で、急ぎ制作過程を振り返り、wam運営委員会でパネルの制作担当者と相談して、以下の通り文章を訂正しました。
(修正前)
日本の敗戦によって「慰安婦」は自由になりましたが、故郷へ帰れない女性もいました。イスラム教には、強かんされた女性は「家族の名誉を傷つけた」として、父親や兄弟が女性を殺害する風習があり、家に戻っても周囲から白い目で見られたり、排斥されることが少なくなかったからです。多くの女性は過去を隠して暮らし、病気に苦しみ、結婚ができても不妊に悩むなど、性暴力によって受けた心身の傷は生涯に及びました。
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(修正後)
日本の敗戦によって「慰安婦」にされた女性たちは自由になりましたが、故郷へ帰れない人もいました。強かんされた女性は「家族の名誉を傷つけた」とする地域社会において、家に戻っても周囲から白い目で見られたり、排斥されることが少なくなかったからです。多くの女性は過去を隠して暮らし、病気に苦しみ、結婚ができても不妊に悩むなど、性暴力によって受けた心身の傷は生涯に及びました。
いただいたご指摘は、
・名誉殺人は一部地域の地域的な風習であり、宗教とは無関係である
・インドネシアにはそのような習慣はない
・イスラム教には、強かんされた女性の殺害を正当化する教義は存在しない
というものでした。
指摘の通り、「名誉殺人」は宗教に関係なく、一部地域に存在する地域的な風習と考えるのが適切です。そして、インドネシア社会には「名誉殺人」の風習はありません。ここに上記の記述を訂正し、パネルの修正を行ったことをご報告します。
イスラム教徒への差別や迫害が世界中で問題になっている現在、宗教に関する誤った情報の流布はあってはならないことです。今後は一層気を引き締めて、専門家の方々のお力も借りながら、しっかりとした事実を伝えていきたいと思います。
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)運営委員一同