日本語 English
戦時性暴力、「慰安婦」問題の被害と加害を伝える日本初の資料館

女性差別撤廃委員会が総括所見発表、「慰安婦」問題に関して勧告

女性差別撤廃委員会が2024年10月17日に第9回日本報告書の審査を行い、10月29日に総括所見(先行未編集版)を発表しました。

総括所見(先行未編集版)全文の日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク (JNNC)訳はこちらでダウンロードできます。

その後、11月28日には、総括所見の最終版が発表されました。日本軍「慰安婦」該当部分についても一部文言修正がされていたので、wamの暫定日本語訳も以下のように修正しました。
総括所見(CEDAW/C/JPN/CO/9)の原文(英語)はこちらでダウンロードできます。

(修正日:2024.12.9)

 

慰安婦

33. 委員会は、「慰安婦」の権利への取り組みについて、締約国の努力を称賛する。しかしながら、このような努力は、真実、正義および被害回復への被害者とサバイバーの権利を確保するために、持続され、拡大される必要があると考える。

34. 委員会は、経済社会理事会決議1158(XLI)が、「戦争犯罪と人道に対する犯罪には期限がないという原則」は国際法上、受け入れられねばならないと確認するものであるとの事実に締約国の注意を喚起する。委員会は、前回の勧告(CEDAW/C/JPN/CO/7-8、para.29)を想起しつつ、「慰安婦」に関する国際人権法上の義務を効果的に履行する努力を拡大・強化して、被害者とサバイバーの権利への包括的な対処がなされるよう確保することを締約国に勧告する。

教育

37.〔略〕しかしながら委員会は懸念をもって以下に留意する。〔略〕
(d)歴史問題をどう反映させるかを柔軟に決定できる出版社の教科書から、「慰安婦」に関する記述が削除されたとの報告

〔略〕

38. 女子・女性の教育を受ける権利に関する一般勧告第36号(2017年)に照らして、委員会は締約国に以下を勧告する。
〔略〕
(d)生徒と一般の人々に対して歴史的事実が客観的に提示されるように、教科書出版に関する政府指針において「慰安婦」を含む女性たちの生きた歴史的な体験を教科書が適切に反映するよう求めることを確保すること、また、あらゆる教育機関における教科書の正確性と標準化を確保するため、こうした指針を出版社がどの程度尊重しているかモニターすること。


該当箇所の原文

Comfort women

33. The Committee commends the State party’s efforts with regard to addressing the rights of “comfort women”. It considers, however, that such efforts need to be sustained and expanded to ensure the rights of victims and survivors to truth, justice and reparations.

34. The Committee draws the attention of the State party to the fact that Economic and Social Council resolution 1158 (XLI) serves to confirm that, in international law, “the principle that there is no period of limitation for war crimes and crimes against humanity” must be accepted. Recalling its previous recommendations ( CEDAW/C/JPN/CO/7-8 , para. 29), the Committee recommends that the State party expand and strengthen its efforts to effectively implement its obligations under international human rights laws with regard to “comfort women” to ensure that the rights of victims and survivors are holistically addressed.

Education

37.〔略〕The Committee notes, however, with concern: 〔略〕
(d) Reports that references to “comfort women” have been deleted in textbooks by publishers, which have the flexibility to determine how they reflect historical issues;
〔略〕

38. In the light of its general recommendation No. 36 (2017) on the right of girls and women to education, the Committee recommends that the State party:
〔略〕
(d) Ensure that national guidelines on the publication of textbooks call for the adequate reflection of the historical lived experiences of women, including “comfort women”, in textbooks, so that historical facts are objectively presented to students and the general public, and monitor the extent to which publishers respect those guidelines in order to ensure accuracy and the standardization of textbooks in all educational institutions;