声 明
11月2日、韓国ソウルにおいて4年ぶりとなる日韓首脳会談が予定されています。最も近い隣国でありながらこれまで首脳会談すら開催できなかったのは、歴史認識の隔たりによるところが大きく、とりわけ「慰安婦」問題に対する安倍首相の認識は日韓関係改善の大きな妨げとなってきました。就任直後から「河野談話」の見直しに言及し、今年8月に発表された戦後70年「安倍談話」においても注目されていた「慰安婦」の言葉はどこにも明示されていません。すでに9回を数える日韓局長級会談でも日本政府は「慰安婦」問題は「日韓請求権協定で解決済み」の姿勢を崩さず、双方の対立を埋めることはできないでいます。1965年当時、その存在すら認めていなかった「慰安婦」問題を日韓請求権協定で解決したと言えるはずもなく、国際法、国内法にも違反する重大な戦争犯罪を今日に至るまで認めようとしない日本政府の責任は重大です。
首脳会談を前に1995年に政府主導でつくられ、2007年に終了した「女性のためのアジア平和国民基金」のフォローアップ事業に政府の予算を追加して新たな基金をつくるという提案が浮上していると報じられています。しかし、国民基金が政府の責任を明確に認めたものではなかったため多くの被害者がこれを受け入れず、「失敗」に終わったことを忘れてはならないでしょう。
「慰安婦」制度は当時の日本軍が立案、設置、募集、管理した制度であることは、多くの研究や資料によってすでに立証されており、その点において戦時性奴隷制の象徴的な事例として国際的に知られています。さらに、被害者が名乗り出て加害国である日本政府に事実の認知と被害回復措置を求め続けているにもかかわらず、被害者を侮辱する発言を容認している日本政府の態度は、国内外で深い憂慮と関心を集めています。1990年代に名乗り出ることができた被害者の多くはすでに亡くなられ、高齢の被害者に残された時間は限られています。今、決断し、解決へと一歩踏み出すことが、日韓関係だけでなくアジアと世界における平和構築に向けての日本政府のメッセージになります。
私たち日本軍「慰安婦」問題解決全国行動は、2014年6月に8カ国の被害者とその支援者がともに「日本政府への提言―日本軍「慰安婦」問題解決のために」をまとめ、政府に提出しました。そこでは、なぜ日本政府のこれまでの談話が「謝罪」として受けとめられてこなかったかについて、はっきりと理由が述べられています。それは、日本政府および軍が、軍の施設として「慰安所」を立案・設置し管理・統制したという事実とその責任を日本政府が曖昧さのない明確な表現で認めるという、当たり前の行為が伴ってこなかったからでした。そして、賠償、真相究明、教育や否定発言への反駁といった再発防止のための後続措置が伴って初めて、謝罪が真摯なものであるとして被害者に受け入れられることができる―「慰安婦」問題解決にいたる道を提言は明確に示しているのです。
「和解」とは、被害当事者が受け入れられる解決策が示された時にはじめて、その第一歩を踏み出すことができる長い道のりです。日韓両政府はこれ以上解決を遅らせることなく、真摯に被害者の声に向き合って解決への道を切り拓くことを強く要求します。
連絡先:日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
東京都新宿区西早稲田2-3-18 AVACOビル2F wam気付
EMail: ianfu-kaiketsu@freeml.com TEL 070-1317-5677
参考:
2014年6月に提出された「日本政府への提言―日本軍「慰安婦」問題解決のために」
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