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wamセミナー 日本軍「慰安婦」の聞き取りとその記録(1)
ハルモニたちの叫びを受け止めて
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伊藤孝司さんは、1990年代に運動が始まった当初から、韓国や朝鮮民主主義人民共和国、フィリピンなど、日本軍の「慰安婦」にされた女性たちの証言を聞き取り、本や映像にまとめてきました。とりわけ朝鮮民主主義人民共和国については、日本軍「慰安婦」の調査や被害女性の支援を担っていた政府の委員会(名称の変遷があり、現在は「日本軍性奴隷及び強制連行被害者問題対策委員会」)から支援と許可を得て、現地での聞き取りを実施できた数少ないおひとりです。
この度、伊藤孝司さんが撮りためてきた「慰安婦」にされた女性たちの証言映像をwamのアーカイブズでも保管することになりました。そこで、30年以上にわたる伊藤さんの証言を聞き取る作業の実際、苦労やエピソード、そして次世代に記録を繋ぐ思いなど、じっくりお話を聞く機会を設けました。ぜひふるってご参加ください。
日 時:2025年9月13日(土) 14:00~16:30
お 話:伊藤孝司さん
会 場:wamオープンスペース(定員40名/予約・先着順)
参加費:1000円(wam会員。非会員は1200円)
*オンラインは翌日夕方以降のオンデマンド配信(1か月)になります。
お申し込みはGoogleフォームで。wam事務局にメールをくださればURLをお送りします。会場参加のみ電話での申し込みも可能です。
【ゲスト紹介】 いとう・たかし
1952年長野県生まれ。フォトジャーナリスト。日本の過去と現在を、アジアの民衆の視点からとらえ、植民地支配やアジア太平洋戦争で日本によって被害を受けたアジアの人々、日本がかかわるアジアでの大規模な環境破壊を取材し、雑誌・テレビなどで発表している。主な著作に『写真記録 破られた沈黙―アジアの「従軍慰安婦」たち』(風媒社、1993年)、『無窮花(ムグンファ)の哀しみ―証言 性奴隷にされた韓国・朝鮮人女性たち』(風媒社、2014年)、『原爆棄民 ―韓国・朝鮮人被爆者の証言』(ほるぷ出版、1987年〔2025年に論創社から増補改訂版〕)、『ヒロシマ・ピョンヤン―棄てられた被爆者』(風媒社、2010年)、『ドキュメント 朝鮮で見た〈日本〉―知られざる隣国との絆』(岩波書店、2019年)、『サラン 波乱の海を越えて 韓国・朝鮮で生きる日本人女性たちの物語』(風媒社、2025年)など多数。
【企画主旨】wamセミナー 日本軍「慰安婦」の聞き取りとその記録
1990年代に日本軍の「慰安婦」として性暴力被害を受けた女性たちが語り始めてから、30年以上が経ちます。この間、歴史を否定する政治家は後を絶たず、第2次安倍政権以降の日本政府は、政府として日本軍性奴隷制の事実さえ否定し、その見解を公的に主張するようになりました。一方で、何度も来日して、日本政府が事実を認めて謝罪と賠償をするよう語ってくれた女性たちも、その多くがこの世を去りました。
戦争での被害や加害の「記憶の継承」は世界的な課題ですが、記憶をどうつないでいくのかは、どの国・地域でも試行錯誤が続いており、wamもまた例外ではありません。日本軍から性暴力被害を受けた女性たちの「あったことを、なかったことにしないで」という遺言のような叫びを心に留めながら、性暴力の記録をどうアーカイブズとして公開できるのか、議論と検討を重ねています。
2005年の開館から20年、wamでは日本軍の「慰安婦」にされた女性、一人ひとりに出会えるように「証言パネル」を制作してきました。このような展示活動は、日本軍の「慰安婦」にされた女性たちの声を聞き取る作業を続けてきた、たくさんの支援者、研究者、ジャーナリストに支えられてきました。wamセミナー「日本軍『慰安婦』の聞き取りとその記録」では、被害証言を聞き取る作業を続けてきた方々から、お話を聞く機会をつくっていきます。