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wamセミナー天皇制を考える(8)
撃ちてし止まむ!
私の心と身体に住みついた天皇と天皇制を
「金権違憲腐敗嘘つき無策政治家」より
「民主的で平和主義者の良い天皇」が好き!!
というきわめて今日的なテーマに沿って考えなおす
日 時:2022年11月3日(木・休) 14:00~
お 話:池田 浩士さん
参加費:1000 円
会 場:wam オープンスペース(定員25名/予約制・先着順)
申込み:Googleフォームはこちら(会場参加のみ電話での申し込みも可)
*オンラインは後日オンデマンド配信のみになります。
*新型コロナの感染状況によって、セミナー開催方法に変更の可能性があります。
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【wamからの触れ口上】
さあ、さ、お立ちあい! このチラシをご覧になってwamは軍国主義になっちゃったの?と思ったそこのあなた! あなたにこそ、この議論にご参加いただきたい! 「私たち」がほっかむりしてきた現実とその歴史を両の眼でしかとみつめてこそ、「天皇制を考える」は始まるのであります。長丁場、心してご参集ください。
【話し手の前口上】
天皇制は英語では the Tenno system とか Tennoism とか言うのだそうです。ところが、1934年から36年にかけて全26巻で刊行された当時最大の日本語辞典、平凡社『大辞典』には、「天皇制」という日本語はどこにも載っていません。また、この語は共産主義運動の国際組織「共産主義インターナショナル」(コミンテルン)の造語で、共産主義の用語だった――という説もあるようですが、じつは、コミンテルンの文書では、日本に関しては「君主制 Monarchie」という語が用いられていたのです。それを日本の非合法共産党の誰かが「天皇制」という語に置き換えて、1931年春から地下出版の党機関紙『赤旗』に「天皇制」が顔を出すようになりました。もちろん、「臣民」はそんな言葉を夢にも知りませんでした。そして、1945年、大東亜戦争の敗戦で天皇タブーのタガが外れた瞬間に、「天皇制」が一気に日本社会に氾濫したのです。「象徴天皇制」という語も、そのとき突如として生まれました。私がいま向き合おうとしている天皇制、私自身が本当に生きるために、時と場を共にする「私たち」と一緒にあらためて見つめなおそうとしている天皇制は、高々それだけの歴史しか持っていません。
その短い歴史の中で、天皇制というものを最もよく表現している言葉は何か?――と問われれば、それは「撃ちてし止まむ!」だ、というのが私の思いです。戦時中の愛国スローガンとしてご存知のかたもおられるかもしれませんが、戦後の「象徴天皇制」についても、いま私たちがその中で日々を生きている現代天皇制についても、この古い言葉は、私たちに多くのことを語り、さらに多くのことを考えさせてくれるでしょう。
「国民」が選んだ政治家よりも天皇のほうが民主主義を大切にしている、という今日の社会感情……
「民主主義者」の天皇や皇族に希望を託すさまざまな思いと、ときには「直訴」……
私たち自身の中に生きている天皇制との近しさを、この古い歌=スローガンの言葉と精神と感性をとおして共に見つめなおしてみたいと思います。
ゲスト:いけだ・ひろし 1940年大津市生まれ。1968年から2004年まで京都大学、2004年から2013年まで京都精華大学で教える。専攻は現代文明論、ファシズム文化研究。著書に、『文化の顔をした天皇制』(社会評論社、1986年/増補版=2004年)、『死刑の〔昭和〕史』(インパクト出版会、1992年)、『ヴァイマル憲法とヒトラー―戦後民主主義からファシズムへ』(岩波書店、2015年)、『火野葦平論――〔海外進出文学〕論・第1部』(インパクト出版会、2000年)、『子どもたちと話す 天皇ってなに?』(現代企画室、2010年)、『ボランティアとファシズム: 自発性と社会貢献の近現代史』(2019年、人文書院)ほか多数。