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戦時性暴力、「慰安婦」問題の被害と加害を伝える日本初の資料館

第16回特別展セミナー(4月~7月:全4回)

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第16回特別展セミナー
朝鮮人「慰安婦」の声をきく
~日本の植民地支配責任を果たすために

場 所:wamオープンスペース
参加費:各回800円(会員割引あり)
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第1回 2019年4月21日(日)14時~16時

天皇の植民地支配責任:植民地統治と占領地支配を考える
ゲスト:山田朗さん(やまだ・あきら 明治大学教員)

5月1日の天皇の「代替わり」を前に、政府は明治150年を礼賛し、「明治の精神に学び、飛躍する国へ」というキャンペーンを張ってきました。「天皇は平和主義者だった」というイメージを強調し、侵略戦争の隠蔽と歴史歪曲に一生懸命です。このような時代に「明治150年」史観を批判して「大元帥」だった天皇がアジア太平洋戦争を指導・推進してきた実態を検証し、その戦争責任、植民地支配責任に鋭く迫っている山田朗さんに、これまでタブーにされてきたこれらの問題を明らかにして、今こそ私たちが向き合うべき問題とは何かについて語っていただきます。

やまだ・あきら:専門は日本近現代史・軍事史 明治大学平和教育登戸研究所資料館館長。著書に『大元帥・昭和天皇』(新日本出版社、1994年/第20回野呂栄太郎賞受賞)、『昭和天皇の軍事思想と戦略』(校倉書房、2002年)、『日本は過去とどう向き合ってきたか』(高文研、2013年)、『昭和天皇の戦争―「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと』(岩波書店、2017年)など。


第2回 2019年5月26日(日)14時~16時

在日として、女性として
ゲスト:方清子さん(ぱん・ちょんじゃ 日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク)

日本軍「慰安婦」問題の解決を求めて、主に関西で活動を続けている方清子さん。しかし、10代は日本社会の差別・抑圧構造のなかで朝鮮人であることを否定することでしか生きる道を見いだせなかったといいます。19歳で民族の言葉を学び、在日朝鮮人として生きる覚悟を決め、その後は朴正煕独裁政権反対運動にのめりこみました。そして女性解放と民主化を同時に取り組む韓国の女性たちに触発されて、1986年には「在日韓国民主女性会」を立ち上げ、ハンギョレ新聞に連載された尹貞玉さんの「慰安婦」調査記事をいち早く翻訳して資料集として世に出すなど、運動の先頭を切ってきました。植民地主義が続く日本社会で、在日朝鮮人として、女性として、「慰安婦」問題に取り組んできたこの30年を振り返ってお話いただきます。


第3回 2019年6月16日(日)14時~16時

日韓諸条約の成立過程:置き去りにされた課題は何か
ゲスト:吉澤文寿さん(よしざわ・ふみとし 新潟国際情報大学教員)

2018年の徴用工問題に関する韓国大法院判決をきっかけに、日韓請求権協定に関する関心が高まっています。しかし、マスコミ報道で目にする日本政府や「専門家」による説明には、「立場」による見解の相違ではなく、「事実」そのものの間違いや歪曲が多々あります。
1965年の日韓基本条約および諸協定の成立過程を研究してきた吉澤文寿さんは、2005年以降に公開された日韓協定関連文書約10万枚におよぶ新資料の分析に着手し、何が議論され、されなかったのか、残された課題は何かを明らかにしてきました。「事実」を改めて学びなおす機会にしたいと思います。

よしざわ・ふみとし:専門は朝鮮現代史・日朝関係史。「日韓会談文書・全面公開を求める会」の共同代表も務めた。主な著書に『戦後日韓関係 国交正常化交渉をめぐって』(クレイン、2005年)、『日韓会談1965 』(高文研、2015年)、永原陽子編『植民地責任論──脱植民地化の比較史』(青木書店、2009年、共著)、李鍾元ほか編『歴史としての日韓国交正常化Ⅱ 脱植民地化編』(法政大学出版局、2011年、共著)ほか。


第4回   2019年 7月7日(日)14時~16時

朝鮮女性の闘いにつらなる
ゲスト:山口明子さん(やまぐち・あきこ 戦時性暴力問題連絡協議会、VAWW RAC)

1973年夏、韓国教会女性連合会から、日本人男性観光客による韓国での「買春」への抗議が日本の教会に届き、それに応えるように日本で「買春観光」反対の運動が始まりました。その当初からこの運動に携わってきた山口明子さん。同年秋には日本基督教婦人矯風会の高橋喜久江さんと戒厳令下の韓国へ渡って調査を行い、帰国後に「キーセン観光に反対する女たちの会」の結成に関わります。1977年3月の「アジアの女たちの会」立ち上げ時の宣言文にも名を連ね、以後、同会で「買春観光」反対、韓国民主化闘争支援など、朝鮮の女性たちの闘いに出会う中から、「慰安婦」問題に関心をもつようになります。1990年代に「慰安婦」問題が公けにとりあげられるようになった当初から活動に参加してこられた山口さんに、当時の活動や、その後の運動へのつながりを伺います。